日本銀行の植田和男総裁は7日、年末から来年にかけて一段と慎重な金融政策運営が求められるとの認識を示した。参院財政金融委員会で答弁した。
植田総裁は4月の就任以降の金融政策運営は、さまざまな不確実性が高い状況の下で「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と語った。その上で、「丁寧な説明、適切な政策に努めていきたい」と語った。
根強いインフレ圧力や賃上げの動きの広がりを背景に市場に早期の政策正常化観測が浮上する中、6日には氷見野良三副総裁が大規模緩和からの出口局面における家計や企業、金融機関への影響に言及したばかり。その翌日の植田総裁の意味深長な発言を受けて、日銀が今月18、19日と来月22、23日に開催を予定している 金融政策決定会合での政策変更を巡る思惑が強まりそうだ。
3層構造
出口に際しては、マイナス金利政策を解除した場合の短期の誘導対象金利や、現在は付利金利の水準によって階層が分かれている日銀当座預金の3層構造の取り扱いも焦点となる。
総裁は短期政策金利に何を採用するかは選択肢があるとし、現在の日銀当座預金に対する付利金利(マイナス0.1%)と過去に対象としていた無担保コール翌日物金利を具体的に挙げた。翌日物金利を採用しても、それを引き上げる場合は当座預金の付利も上げなければならないとし、「どちらを取るかによって、それほど大きな相違があるということではない」と語った。
当座預金の3層構造の取り扱いについては、さまざまなオプションがあるとし、誘導対象金利と合わせて対応は決めていないと説明。出口のタイミングや順序を含めてシミュレーションを示すのは時期尚早とし、出口をスムーズに進めるためにも「少し前からさまざまな情報を開示していく」と語った。
総裁は「物価目標達成の見通しが立つようになれば、マイナス金利の解除、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)のフレームワークの見直しが視野に入ってくる」と言明。その上で、マイナス金利解除後の金利水準に関しては「現時点でこういう姿であるというふうに決め打ちしたものを、心の中に持ってるというわけでは全くない」と述べた。
日銀は10月会合で、長期金利の1%超えを容認するYCCの運用柔軟化を決めた。2023-25年度の 消費者物価見通しも引き上げ、24年度まで3年連続で目標の2%を超える姿となった。
国会への半期報告の概要説明では、現時点では物価目標の持続的・安定的な実現を「十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っておらず、今後、賃金と物価の好循環が強まっていくか注視していくことが重要」と指摘。その上で、現在の政策の枠組みの下で「粘り強く金融緩和を継続することで経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく」と語った。
他の発言
- 国民からの批判的な意見増えている、インフレ・円安を反映
- 物価上昇が個人消費の足を引っ張っていることは重々承知
- 当座預金付利使う場合の利上げ、マイナス0.1%を例えばゼロや0.1%に引き上げる
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(総裁発言の詳細を追加して更新しました)
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