Friday, May 12, 2023

早産児の失明リスク、AIで診断…大阪大などが支援ソフト開発へ - 読売新聞オンライン

 妊娠37週未満で生まれた早産児に多い目の病気「未熟児網膜症」の重症化を事前に予測するため、大阪大などが今年度から、人工知能(AI)を利用した診断支援ソフトの開発に乗り出した。治療が遅れれば失明の恐れもある患者をソフトで早めに見つけ、専門医のいない病院でも十分な診療態勢を整備できるようにする。数年以内の実用化を目指すという。(松田祐哉)

 未熟児網膜症が重症化すると網膜が剥がれ、視力の発達が阻害されたり失明したりする。新生児集中治療室(NICU)では治療の時機を逃さぬよう、眼底の検査が多い場合は週1回以上行われるが、体への負担が大きいことが課題だった。

 阪大の福嶋葉子特任准教授(眼科学)らは重症化する患者の特徴を探るため、2009~18年に大阪府内の病院のNICUに入院した妊娠28週未満の早産児約200人のデータを解析。体重や身長、心拍数の推移など約20項目のデータから、4週間後に重症化する患者を予測するAIを作った。

 現在の予測精度は約90%に達するが、今年度以降は、検査が頻繁に必要な患者を絞り込めるよう精度をさらに向上させる。同時に、各病院の電子カルテシステムから必要なデータを取得してAIに予測させるソフトを企業と開発し、医療機器としての承認を国に申請する。福嶋特任准教授は「未熟児網膜症の専門医がいない病院は多いが、ソフトを使うことで時間の余裕が生まれ、専門医の派遣を受けるなど十分な診療態勢を整えられるようになる」と話す。

 東範行・日本小児眼科学会理事長の話「眼底検査は必要だが、AIの精度がさらに上がれば、早産児の負担軽減につながる可能性がある」

未熟児網膜症  早産児の網膜の血管が異常に発達する病気。妊娠32週未満、体重1500グラム以下で生まれた子の約1割で、眼球へのレーザー照射や薬の注射が必要になる。こうした治療は血管の増殖、蛇行、拡張の度合いが一定程度を超えてから、おおむね3日以内に行えば効果が期待できるため、継続的な検査が重要となる。

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