積層セラミックコンデンサーは電子回路を技術仕様通りに安定動作させるために欠かせない電子部品だ(撮影:尾形文繁)
スマートフォンに欠かせない電子部品の1つが、積層セラミックコンデンサー(MLCC)だ。電気を蓄えるなどの機能を持ち、スマホ1台に約1000個用いられるとされる。そのMLCCで世界シェア首位を誇る電子部品大手・村田製作所の決算には、「スマホ変調」の影響が色濃く出た。
4月28日に発表した2022年度業績は売上高1兆6868億円、営業利益2979億円。業績水準はなお高いものの、前年度比では売上高が6.9%減、営業利益は29.8%減と落ち込んだ。米国会計基準からIFRS(国際会計基準)に移行する2023年度は売上高1兆6400億円、営業利益2200億円を見込む。単純比較で2.8%の減収、26.1%の減益となる。
2年連続での2桁減益。このような厳しい予想を立てた背景にあるのが、中国スマホメーカーを中心とするスマホ市場の変調だ。村田恒夫会長は2023年度の見通しについて、「減収減益の原因はスマホ向けの伸び悩み。台数の伸びほど大きな回復が見込めない」と肩を落とす。
発端は2020年、アメリカの制裁強化で中国のファーウェイがつまずき、スマホの高級機市場で同社のシェアが低下したことにある。それを好機とみたほかの中国メーカーは、部品を確保し高級機の生産を進めた。だがシェアを奪ったのは結局、アメリカのアップルや韓国のサムスン電子だった。加えて、中国経済が冷え込んだため、中国メーカーは過剰な在庫を抱えてしまった。
中国メーカーが日本の電子部品メーカーへの注文を急激に減らすという、中国スマホの「底」の期間は約1年続いた。今年2〜3月ごろからは、一部の中国メーカーからの受注がやや上向いてきた電子部品メーカーも複数出てきている。
とはいえ、楽観的な回復シナリオを描くのは早計のようだ。理由は2つある。
中国スマホはローエンド品にシフト
1つ目は中国メーカーにおける機種構成比の変化だ。
中国メーカーは、中級機以上の製品を自社で製造し、安価なローエンド品は「ODM」で生産している。「Original Design Manufacturing」の略がODMで、 生産コスト削減のために製造を他社に委託することをいう。
景気が減速し消費者のスマホ購買意欲が弱くなる中、中国メーカーはコストを抑えながら販売台数を増やそうとした。その結果、2022年度後半より、中国で生産されるスマホのうち、ODMでつくられた安価なローエンド品の占める比率が高まっているという。
からの記事と詳細 ( 村田製作所、連続2ケタ減益予想の裏にスマホ変調 - 東洋経済オンライン )
https://ift.tt/ThlZKPB
0 Comments:
Post a Comment