スランジャナ・テワリ、BBCニュース

画像提供, AFP/Getty
中国の裁判所は10日、麻薬密輸の罪で死刑判決を受けたカナダ人被告の上訴を、「十分な」証拠があるとして退けた。11日にはスパイ罪に問われた別のカナダ人被告に、懲役11年が言い渡された。
カナダと中国は関係が悪化した状態が続いており、そうした中での判決となった。
ロバート・ロイド・シェレンバーグ被告は裁判で当初、懲役15年の刑が言い渡された。しかし2019年になり、高裁は刑が軽過ぎると判断。差し戻し審が開かれ、死刑判決を受けた。
カナダのドミニク・バートン駐中国大使は判決を非難。中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)幹部、孟晩舟氏の身柄引き渡しに関する争いがカナダで続いている間に今回の判決が出されたのは「偶然ではない」と述べた。
ファーウェイ創設者の娘の孟氏は現在、アメリカの逮捕状に基づいてカナダで拘束されている。
カナダはこれまで、中国が「人質外交」を展開していると非難してきた。中国政府は、2つの事件に関連性はないとしている。
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死刑をめぐる経緯
シェレンバーグ被告は2014年に拘束され、中国からオーストラリアに覚醒剤約230キロを密輸しようとしたとして起訴された。
被告は起訴内容を否認。中国には旅行で訪れたと主張した。
2018年11月、懲役15年の刑が言い渡された。
だがその数日後、カナダが孟氏を拘束。中国はカナダに対し、孟氏を解放しなければ何らかの結果が生じると警告した。
シェレンバーグ被告はその後、判決を不服として上訴。高裁は減刑せず、逆に1審判決は軽過ぎるとして死刑を言い渡した。
このときの審理で高裁は、被告が国際的な麻薬密輸に深く関わっていることが証拠によって示されたとした。
被告側の弁護士は当時、ロイター通信に対し、裁判では新たな証拠は出されておらず、刑が重くされることがあってはならなかったと話した。
別のカナダ人の裁判
一方、別のカナダ人をめぐる注目の裁判の判決が11日、中国北部・丹東市の裁判所で言い渡された。
スパイ行為の罪に問われたビジネスマン、マイケル・スパヴァー被告。この日、懲役11年の実刑を受けた。被告は2年前に中国で、カナダ人の元外交官マイケル・コヴリグ被告と共に拘束された。カナダで孟氏が拘束されてから、ほどなくしてのことだった。
裁判所は声明で、「スパイ罪と国家機密を違法に外国に提供した罪により、懲役11年の刑と、5万元(約85万円)相当の所有物の没収、強制送還を言い渡した」とした。
強制送還がいつ実施されるのかは不明。
AFP通信によると、バートン駐中国大使は裁判所前で記者団に、判決を「非難する」と述べた。また、「上訴の機会がある」と述べた。

画像提供, Reuters
スパヴァー被告の審理は今年3月、丹東市の裁判所で2時間ほど開かれ、判決に至らず終了していた。
その際、カナダの外交官は、駐中国公使を含め、誰も法廷に入ることができなかった。
カナダのジャスティン・トルドー首相は当時、非公開の審理について、「まったく受け入れられない」と述べていた。
スパヴァー被告は、北朝鮮とのビジネスや文化交流を手掛ける団体「Paektu Cultural Exchange」の創業メンバー。
カナダは報復とみなす
BBCのロビン・ブラント上海特派員は、カナダ人被告3人のことを、中国は犯罪者だと主張していると説明。一方、カナダは孟氏の拘束と密接に関係した報復としての拘束だと考えているとした。
また、カナダが孟氏をアメリカでの裁判に向けて同国に引き渡そうとしていることに対する脅しだと、カナダは受け止めていると解説。中国はそうした見方を否定しているとした。
コヴリグ被告もスパイ罪に問われ3月に裁判が始まったが、まだ判決に至っていない。
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