国境を越えて成長を続けるGAFA(ガーファ)。膨大な個人情報を元手に、世界中で無料サービスを提供し、国家と肩を並べる存在感を示しています。他方、膨大な利益に見合う十分な税金を払っていないとの批判も絶えません。経済思想家の斎藤幸平さんは、世界は低成長が続く「ゾンビ資本主義」に陥っていると指摘し、GAFAはその象徴的な存在だと説きます。「情報」がカネになるデータ経済の時代を生き抜くための思想を聞きました。
1987年生まれ、大阪市立大学准教授。専門は経済思想、社会思想。著書に「人新世の『資本論』」(集英社新書)など。同書が30万部超のベストセラーに。
――主要20カ国・地域の財務相・中央銀行総裁会議は7月、GAFAを含めた巨大IT企業の課税逃れを防ぐため、工場などの拠点がなくても課税できるようにする「デジタル課税」の導入で大筋合意しました。
「拠点のある場所にかかわらず、国別の売上高に応じて徴税できる、このデジタル課税の仕組みは、一定程度、評価できます。当然、国際課税の流れを加速し、法人税の税率も上げていくべきです」
――コロナ禍の財政難で、GAFAへの風当たりが強くなっているようにみえます。
「ただ、今回のデジタル課税で留飲をさげているだけでは、ダメだと思います。GAFAとは何かを深く考えると、課税で十分とは言えません。資本主義の本質を踏まえたうえでGAFAについて考える必要があります」
記事後半では、マルクスが描いた世界と現代の違い、国家とGAFAの関係、デジタル経済の将来について語っています。
「先進国は経済の長期停滞で…
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