Tuesday, February 23, 2021

【アクセンチュア最新調査】「クラウド投資で十分な成果」は37%「企業がクラウドの価値を最大限に引き出すための対策」とは - ロボスタ

多くの企業は長年にわたって、クラウドへの投資効果の最大化に注力してきたにも関わらず、依然として価値創出に苦戦していることがアクセンチュアの最新調査によって判明した。
同社は、最新調査レポート「Sky High Hopes: Navigating the Barriers to Maximizing Cloud Value」の作成にあたり、日本を含む17カ国、11の業界にわたる大企業の上級役職者およびIT担当役員750人を対象に調査を行った。なお、同調査は、クラウドによるデジタル変革を支援する同社内の専門組織、「アクセンチュア クラウド ファースト」の設立後に行われたものだ。

「クラウド投資で十分な成果」は2年間でわずか2%増

同調査の結果、「クラウドへの投資で期待される価値を十分に生み出している」と回答した企業は37%に留まり、同社が2018年に行った調査と比べて、割合が2%しか増えていなかった。また、クラウドによる価値創出がこれまで以上に重要視されている中、クラウドが生み出した価値に「大変満足している」と回答した企業は45%に留まり、2018年と比べてわずか1%しか増加していない。さらに「クラウドに移行したことで、必要な時に期待通りの価値を提供できると確信している」と回答した企業は、29%に留まっていた。その一方で、クラウド移行の規模が大きくなるにつれ、多くの成果が生み出されているとの点もみえてきた。また、クラウドがもたらす成果や懸念に関して、最高経営責任者(CEO)と他の上級役職者と大きく異なる考えを持っていることも判明した。

クラウド移行の規模が大きくなるにつれ、多くの成果が生み出されている

クラウドを大規模に導入している企業のうち、46%が「期待通りの成果を出すことができた」と回答したが、この割合は、クラウドの導入が中規模であった企業では36%、導入が小規模であった企業では28%となった。企業の多くは、直面している主要な課題を乗り越え、新たなビジネス機会や価値の創出に向けて迅速かつ俊敏に変革を進めるためには、クラウドが不可欠であることを認識しており、企業の上級役職者のうち、80%が「不確実性のリスクを軽減する手段としてクラウドに注目している」と回答した。また、87%が「クラウドは、自社のサステナビリティに関する目標を達成するために不可欠な要素である」と答えている。

「クラウド移行により期待通りの成果を達成している」と回答した企業の割合

企業のクラウド活用を妨げる障壁について

調査対象となった最高経営責任者(CEO)の中では、「スキル不足が障壁」(54%)との回答が最も多い結果となりました。すべての調査対象者の中では、「セキュリティとコンプライアンスのリスク」(46%)が最多で、続いて「レガシーのインフラストラクチャやアプリケーション」と「IT部門とビジネス部門の連携不足」がそれぞれ40%となった。さらに今回の調査によって、CEOは、クラウドがもたらす成果や懸念に関して、他の上級役職者と大きく異なる考えを持っていることが判明。例えば、CEOの54%は「自社は、必要な時に期待通りにクラウドの価値を提供できる能力があると確信している」と回答したのに対し、最高情報責任者(CIO)は34%、最高財務責任者(CFO)は28%であった。
アクセンチュア クラウド ファーストのグローバル責任者であるカーティク・ナライン(Karthik Narain)氏は、次のように述べている。

「アクセンチュア クラウド ファースト グローバル責任者 Karthik Narain 氏

クラウドは変革を進める上で、自社のビジネスを再定義し、従業員の専門性や創造性を高めるだけなく、サステナビリティの取り組みを強化し、利害関係者に新たな価値をもたらす際の強力な基盤となります。しかし、あらゆる企業がクラウドの潜在的な価値を最大限に享受できているわけではありません。今回の調査によって、クラウドの価値創出に成功している企業の割合は、2年間で微増に留まっていることが分かっています。クラウドへの投資効果を最大化するためには、全社を挙げて計画的に取り組むことが欠かせません。今後、新型コロナウイルス感染症が終息した後においても競争に打ち勝つためには、クラウドを前提とした事業運営を行うクラウドファーストの戦略を打ち出し、あらゆるビジネス領域に対して早急にクラウドを導入することが必要です。
今回の調査によって、企業がクラウド移行によってビジネス価値の最大限を図るためには、複雑な問題が障壁として存在していることが分かりました。一方で、成果を中心に据えたクラウド戦略の策定や、適切な専門家との連携、生産性強化に向けた従業員のスキル向上などテクノロジー以外の課題への対処を進めることで、企業は求めている成果や投資効果を生み出すことが可能になります。

企業がクラウドの価値を最大限に引き出すための対策

同社は、企業がクラウドの価値を最大限に引き出すためには、働き方の根本的な見直しや、新たな運用モデルへの移行、新たな役割やスキルのあり方の定義がカギとなるとして、以下の項目を挙げた。

ビスネス価値を中心に据えた戦略

社内の意思決定者と連携しながら、広範なビジネスケースに基づいて最適なクラウド戦略を策定し、収益増とコスト効率化の機会を特定することが肝要です。

従業員や企業文化のチェンジマネジメント

新しい運用モデルに加え、スキル向上や人材育成のプログラムを行うことにより、従業員の働き方を変革し、急速に変化するニーズに対する対応力を強化することが欠かせません。

データとAI

クラウドデータモデルを構築することで、レガシーシステムに蓄積された業界や業務に関するデータや知見を活用することが重要になります。

成功に向けたパートナーとの連携

戦略パートナーのスキルや経験を活用して、自社組織の機能強化を図することが欠かせません。クラウドサービスは、コスト効率を維持しつつ、適切なスキルを構築したい企業にとっては、有効な選択肢の一つとなります。
なお、同レポートの詳細は以下のURLにて確認できる。

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