梅雨明け前から各地で真夏日や猛暑日を記録した今年。まだ暑さに体が慣れていないだけに体調を崩す人が多く、中には熱中症になった人もいる。この時期は盛夏とは異なる対策が必要で、単に暑さを避けるだけでなく、意識的に外出して体を少しずつ暑さに慣らす「暑熱順化」を進めたい。十分な睡眠や食事を心掛け、本格的な暑さの到来に備えて体力を蓄えることも大切だ。熱中症対策について専門家の医師に教えてもらった。
梅雨明け前から今年も各地で暑い日が
◇服装で寒暖差克服
「この時期は真夏と違って朝晩と昼の寒暖差が大きいのが特徴で、最高気温が30℃近くても、最低気温は20℃に満たない日もある。暑い日とそうでない日の差も大きい。このため、日々の最高気温だけでなく、最高気温と最低気温の差や、一日一日の変化の度合いにも注意を払う必要がある」。熱中症に詳しく、「いのちを守る水分補給:熱中症・脱水症はこうして防ぐ」など著書も多い済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師は、対策のポイントについてこう指摘する。
具体的な対策としては、気温が上昇する昼間は、外出時には上着やサマーセーターを持参し、気温の変動に合わせて服装で小まめに体感温度を調整できるように心掛けたい。その一方で、気温が低下しやすい夜間や早朝に備えて暖かめの寝具やパジャマなどを使用するのが望ましい。特に、昨年まで新型コロナウイルス対策でこの季節の外出を控えていた人は、暑熱順化の能力が低下している場合が多く、例年にも増して対策が必要と考えられる。
「就寝時は昼間の余熱や湿気で暑く感じるようでも、明け方までには気温が大きく下がるが今の季節。電気代が気になるかもしれないが、就寝前後はエアコンを使って室温を下げるぐらいの覚悟をしてでも、明け方の気温低下に備えた寝具選びをしてほしい」と谷口医師は強調する。
観光地でも梅雨の雨が続く
◇栄養・水分摂取へ1日3食
もう一つ注意が必要なのは食事だ。食欲不振というと猛暑の時期を思い浮かべる人が多いが、梅雨時の高温多湿や温度変化でも体調を崩しやすく、結果的に食事量が減少している人が少なくない。「人間は必要な水分の多くを食事として摂取しており、食事量が減少してしまうと、その分脱水症状に近くなる。水やお茶で意識的に水分を摂取するのも大事だが、1日3回、しっかりとした食事で栄養と水分を体に取り入れることが重要だ」と、谷口医師は注意を喚起する。夏本番に備える意味でも「バランスが取れた食事で栄養を蓄えておくことが欠かせない」という。
梅雨明け以降を視野に、エアコンの点検も欠かせない。故障していたり、リモコンの設定が暖房のままになっていたりしていないか。独居の高齢者であれば、家族が出向いてでも確認しておきたい。また、今夏は各地の自治体が、冷房の利いた公民館などを「クールシェルター」として開放する予定なので、日中はそちらへの避難も考えておきたい。谷口医師は「身近なクールシェルターがどこか、自治体の広報誌などで確認しておくのも大事な暑さ対策だ」と話している。(喜多壮太郎)
(2023/06/28 05:00)
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