原子力発電所の運転期間について、政府は22日、実質的に上限の60年を超えて運転できるようにする基本方針を取りまとめました。
これに対し原子力発電に反対する県内の市民グループなどからは反発の声があがっているほか、知事や市長からは国の丁寧な説明を求める声が上がっています。
川内原子力発電所は▽1号機が再来年に▽2号機が3年後に福島第一原子力発電所の事故を受けて設けられた原則40年の運転期間の制限が迫っていて、九州電力はことし10月、20年延長して最長60年の運転を認めるよう求める申請書を原子力規制委員会に提出しています。
こうした中、政府は22日、審査などで運転を停止した期間を除いて実質的に60年の上限を超えて運転できるようにする基本方針案を取りまとめました。
政府の新たな基本方針に塩田知事と薩摩川内市の田中市長は、ともに国の十分な説明を求めたいという考えを示しました。
【薩摩川内市長は】
薩摩川内市の田中良二市長は「何らかの新しい改正をするにしてもより厳正厳格な議論と審査をお願いしたい」としたうえで、「市民の不安を取り除くために見直すべき背景や見直した後のスケジュールなど、国には説明責任が求められると思います」と述べ、国に十分な説明を求める考えを示しました。
【知事は】
原発の運転期間が実質的に60年を超える運転を行う方針で取りまとめられることについて21日、鹿児島県の塩田知事は記者団に対して、「安全性の確保が大前提で、そのために必要な科学的な技術的な説明等を国がしっかり行ってほしい」と述べました。
そのうえで、今後の方針については「制度の形や除外される期間がまだ具体的に見えない状況のため、今後事業者や国の動きを見ながら検討したい」と述べ、状況を注視する考えを示しました。
川内原発の運転延長に反対している市民団体からは反発の声があがっています。
【運転延長に反対の市民団体は】
川内原発の運転延長に反対している市民団体、川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子代表は「福島第一原発の事故のあと、与野党合意で原発は設計上は30年くらいしかもたないんじゃないかというところを40年という原則を決めました。それを60年以上動かすというのは、人権無視でとんでもないことだと思います」と話していました。
【川内商工会議所 専務理事は】
一方、川内商工会議所の上村健一専務理事は「川内原発には、地元経済を下支えしてもらっているし地域の基幹産業でもあるので、いまの20年運転延長の手続きを進めてもらいたい」としながらも「原発の運用方針を変えるのであれば、国には丁寧な説明をしてもらいたい」と話しています。
60年を超える長期間の運転の安全性は大丈夫なのか?
川内原発の運転延長について検証する県の分科会の特別委員で、元東芝の原発設計技術者の後藤政志委員は次のように指摘しました。
【運転延長検証の分科会 後藤政志委員は】
川内原子力発電所の運転延長を検証する県の分科会の特別委員で、延長に批判的な立場をとる元東芝の原発設計技術者の後藤政志委員は、NHKの取材に対して「原発を停止している期間でも劣化しにくい部分と確実に劣化する部分もある中、同じように捉えその期間を追加的に延長するのは技術的に考えられない」と指摘しました。
そのうえで「政策で必要だということで安全性の問題が形骸化していて危機感を感じる。運転期間の寿命を延ばしたり原発にウエイトを置くこと自体、福島第一原発事故の教訓を忘れているのではないか」と強い懸念を示しました。
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