エスカレートした関税の掛け合いは、「貿易戦争」とも呼ばれ、トランプ政権が発動した関税の対象は、中国からの輸入品の7割近くにおよびました。
こうした状況が続いたあとの去年1月、両国は第1段階の貿易協定に合意しました。
協定は、アメリカが中国に対する関税の一部を引き下げる代わりに、中国がアメリカ産の農産品や工業品、それに石油・天然ガスの輸入を2年間で2017年の時点より、2000億ドル以上増やすとする内容で、トランプ前大統領は農家や労働者に成果をアピールしました。
ことし1月に就任したバイデン大統領は、中国との貿易交渉について、懲罰的な関税措置は行わないことや、多国間の連携によって中国に対抗する方針を示しました。
ただ、政権の発足から今まで、トランプ前政権による関税措置と貿易協定を維持しています。
アメリカ国内の反中感情がおさまらない中で、関税の引き下げや貿易協定の見直しを行えば、弱腰と批判されるおそれがあったためとみられます。
今回、貿易協定の見直しに着手する考えを打ち出した背景には、その数値目標の期限を、まもなく迎えることがあるとみられます。
さらにアメリカの産業界から関税の掛け合いが負担になっているとして、その見直しを求める声が上がっていることへの配慮もあると受け止められています。
バイデン政権は、中国との対話を重視するとしていて、関税の上乗せによって揺さぶりをかけていたトランプ前政権との手法の違いを強調しています。
一方で、中国による国有企業などへの過剰な補助金や知的財産権の侵害が、アメリカにとって不利な競争環境につながっていると問題視していて、貿易協定の見直しでは中国に改革を迫る方針です。
このため、中国の反発は必至なうえ、交渉の中で中国からは高い関税の引き下げを求められることになりそうです。
さらに米中の間では、半導体などのハイテク製品の規制のほか、中国の新疆ウイグル自治区の人権侵害の問題や台湾をめぐって、対立が深まっています。
こうした状況で交渉を進めることになるだけに、バイデン政権が、中国との間で実効性のある新たな協定を結ぶには高いハードルがあります。
からの記事と詳細 ( 米バイデン政権 対中貿易協定見直しへ “近く閣僚級協議再開” - NHK NEWS WEB )
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