Thursday, October 28, 2021

関西スーパー 29日臨時株主総会 統合案めぐり攻防続く|NHK 兵庫県のニュース - nhk.or.jp

関西と首都圏の2つの流通企業による争奪戦となっている「関西スーパーマーケット」の臨時株主総会が29日、開かれます。
「関西スーパー」が阪急阪神百貨店などの運営会社の傘下に入るとする統合案が承認されるか、両陣営によるギリギリの攻防が続いています。

兵庫・大阪を地盤とする「関西スーパー」をめぐっては、ことし8月に経営統合の契約を結んだ阪急阪神百貨店などの運営会社、「エイチ・ツー・オー リテイリング」と、先に買収を提案していたとする首都圏が地盤のスーパー、「オーケー」が争奪戦を展開しています。
「関西スーパー」は、同じ関西を拠点とする「エイチ・ツー・オー」との経営統合で収益力が強化されるとして、29日、臨時の株主総会を開いて、統合案を諮ることにしています。
この議案が承認を得るには、株主の3分の2以上の賛成が必要で、「関西スーパー」の株式を10%余り保有する「エイチ・ツー・オー」以外の支持をどれだけ集められるかが焦点です。
一方、「関西スーパー」の株式の7%余りを保有する「オーケー」は、統合後の事業計画の説明が不十分だなどと主張し、統合案に反対するよう呼びかけていて、両陣営による攻防が激しくなっています。
さらに、「オーケー」は、株主総会で今回の統合案が否決された場合、「関西スーパー」側の同意を得た上で、TOB=株式の公開買い付けによって買収する方針を明らかにしており、総会の結果が注目されます。

【これまでの経緯】
首都圏を地盤とする「オーケー」は、関西への進出を目指す足がかりとして、ことし6月、7%余りの株式を保有する兵庫・大阪が地盤の「関西スーパーマーケット」に対し、TOB=株式の公開買い付けによる買収を提案していました。
しかし、その2か月余りあとのことし8月末、「関西スーパー」は、阪急阪神百貨店などを運営する「エイチ・ツー・オー リテイリング」と経営統合すると発表します。
「関西スーパー」と「エイチ・ツー・オー」傘下のスーパー2社を統合させて、各ブランドの特色を生かしながら仕入れ先の統一などによって“関西最強のスーパー”を目指すというものでした。
これに「オーケー」は「寝耳に水だ」として強く反発。
「関西スーパー」が上場して以来、最も高い株価と同じ1株2250円で買収の提案をしていたことを明らかにしました。
これに対し、「関西スーパー」は統合によって仕入れの統一や共同配送などの効率化が進み、大幅な増益が見込めるとして、「最善の選択であると確信している」と統合の意義を改めて強調した上で、「オーケー」の提案については、顧客層や商品の構成が異なるなどと説明しました。
この説明に「オーケー」は「関西スーパー」が示した統合後の事業計画について、「説明が不十分である」として、臨時の株主総会に向け、統合の議案に反対するよう呼びかける文書を、およそ6000の株主に送りました。
また、「関西スーパー」の4%余りの株式を保有する食品卸大手の「伊藤忠食品」が「株主として賛否を判断する十分な材料が開示されていない」として、「関西スーパー」側に質問書を送ったほか、議案の賛否に影響力を持つとされるアメリカの議決権行使の助言会社2社が統合の議案への反対を推奨したことも分かりました。
一連の動きを受けて、「関西スーパー」は「事業計画は独立した立場の社外取締役や弁護士による特別委員会の承認を受けたもので、計画の達成に向けて不退転の覚悟で取り組む」とする見解を公表するなど、臨時の株主総会に向けて激しい攻防が繰り広げられていました。

【エイチ・ツー・オーの主張】
「エイチ・ツー・オー リテイリング」は、傘下のスーパーの「イズミヤ」や「阪急オアシス」の株式と交換するなどして「関西スーパーマーケット」の株式の58%を取得し、子会社化することにしています。
その上で、「関西スーパー」の上場を維持し、屋号も変更しないとしています。
「エイチ・ツー・オー」は、食品スーパー事業を百貨店事業に次ぐ第2の柱に育てる方針を掲げています。
今回の統合が実現すれば、売り上げが4000億円規模の食品スーパー連合が誕生することになり、会社ではブランド力や店舗数などで関西トップの地位を確立できるとしています。
「関西スーパー」の臨時株主総会を前に、NHKのインタビューに応じた「エイチ・ツー・オー」の荒木直也 社長は「収益力はもちろんのこと、各スーパーの持ち味や個性を併せ持った関西最強のスーパーマーケット連合を目指したい」と意気込みを語りました。
その上で、「『関西スーパー』の株主で、われわれも取り引きがある食品会社や金融機関などとはコミュニケーションを取っており、『関西スーパー』との経営統合に強い支持を得ている。統合案の承認に確かな手応えを感じている」と述べました。
「関西スーパー」は、「エイチ・ツー・オー」との統合で、店舗の改装や共同仕入れによるコスト削減などを進め、スーパー3社の合計の営業利益を昨年度の73億円から2025年度には136億円に増やすという事業計画を明らかにしていますが、「オーケー」は実現性に疑問を呈しています。
これについて、荒木社長は「『イズミヤ』の構造改革と『阪急オアシス』の過剰出店の見直しによって、一時的な特別損失が集中したが、恒常的な利益構造が赤字になっているわけではない。構造改革の成果で傘下のスーパー2社は身軽でスリムな体質になっており、事業計画については、十分、達成可能だ」と述べ、反論しました。

【『関西スーパーマーケット』とは】
「関西スーパーマーケット」は伊丹市に本社があり、兵庫や大阪、それに奈良に、あわせて64店舗を展開しています。
およそ60年前に1号店がオープンしました。
創業者の北野祐次氏が視察で訪れたアメリカのスーパーを参考に、鮮度と効率を重視したシステムを導入したことで、いまのスーパーの生鮮売り場の原型を作ったとも言われています。
北野氏がほかのスーパーからも積極的に研修者を受け入れたことから、その後、全国にそのシステムが広がりました。
格安店の進出で、経営難に追い詰められたスーパーが売り上げを改善して、ライバルに打ち勝つまでを描いた映画「スーパーの女」は「関西スーパー」から影響を受けたとも言われています。
「関西スーパー」の昨年度1年間の最終的な利益は、新型コロナの感染拡大に伴う、いわゆる「巣ごもり需要」もあり、前の年度から19.2%増えて20億円でした。
ただ、同じく関西発祥のスーパーで首都圏への進出を進めた「ライフコーポレーション」が店舗数がおよそ280、ことし2月期の決算では最終的な利益が178億円まで成長しており、「関西スーパー」は今後の成長戦略が課題となっていました。

【「オーケー」の主張】
「オーケー」は、ことし6月、「関西スーパーマーケット」に対して、TOB=株式の公開買い付けを行って会社を買収したいと提案していました。
買い付け価格は「関西スーパー」が上場して以来、最も高かった株価と同じ、2250円を提示。
「関西スーパー」を完全子会社化したあと、「関西スーパー」の名称は維持する一方、出店を強化し、仕入れの方法を見直したり店舗の改装を行ったりすることで、1坪あたりの売り上げを現状より30%増やすことができるとしています。
「関西スーパー」の臨時株主総会で、「エイチ・ツー・オー リテイリング」との統合の議案が否決されれば、「関西スーパー」の同意を得た上で、TOBを行う方針です。
臨時株主総会を前に、「オーケー」の二宮涼太郎 社長はNHKのインタビューに応じ、「『オーケー』はこの40年間、一度開けた店舗は閉鎖をしていない。当然、関西においても、『関西スーパー』をもっとお客様から支持されるようにしていくつもりだ。店舗の整理などは一切考えていない」と述べました。
また、「関西スーパー」が今回の議案どおりの経営統合を実現した場合、「エイチ・ツー・オー」傘下の2社を合わせた営業利益が大きく伸びる見込みだとする事業計画については、「将来の事業環境は、新型コロナの巣ごもり需要も一段落し、ますます厳しくなるはずだ。統合までに事業改革がすべて終わり、今後、成長していく計画は過去の実績から見ても、株主としては確信できない」と疑問を呈しました。
その上で、「『オーケー』と『関西スーパー』が一緒になるほうが関西のお客様にとっても、『関西スーパー』の従業員にとっても、会社そのものにとっても利益になる。いろいろな株主の方と話をする中で、非常に手応えを感じている」と述べ、自社による買収提案のほうが、企業価値の向上につながると強調しました。

【オーケーとは】
横浜市に本社を置くスーパー「オーケー」は、首都圏におよそ130店舗を展開しています。
特売日を設けず、毎日低価格で販売するという戦略で、売り上げは昨年度まで34年連続で増収を達成しました。
商品を絞り込んで大量に仕入れるだけでなく、刺身のつまを別売りにしたり店内の冷蔵の棚を減らすためにペットボトルの飲料を常温で販売したりするなど、徹底したコスト削減によって、低価格の実現を目指すという独自の経営方針を掲げています。
こうした取り組みで業績を伸ばしてきた「オーケー」ですが、地盤とする首都圏の出店余地が限られてくる中、今後の規模拡大には、首都圏に次ぐ大都市圏である関西への進出が不可欠だとして、「関西スーパーマーケット」の買収を目指しています。

【背景にはコロナ後の危機感】
「関西スーパーマーケット」をめぐり争奪戦となっている背景には、スーパー業界に広がる新型コロナの感染収束後を見据えた経営への危機感があります。
日本チェーンストア協会によりますと、昨年度の会員企業の売り上げは12兆8000億円余りとなり、1年以上営業している既存店どうしの比較で、5年ぶりに増加に転じました。
コロナ禍での外出自粛や自宅での食事が増えたことが追い風となり、「イオン」や「ライフ」、それに「業務スーパー」を展開する神戸物産など、直近の決算で過去最高の売り上げを記録する企業も相次ぎました。
ただ、人口の減少に加え、ドラッグストアや「アマゾン」をはじめとするネット通販といった異業種が生鮮食品や総菜の販売に乗り出すなど、スーパー業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。
各社では、ネットスーパーの拡大のほか、レジの無人化やAI=人工知能を活用した商品の発注をはじめとするデジタル技術による生産性の向上など対応を急いでいます。
その上で、さらなる経営の効率化やシェアの拡大に向けて、経営の統合を目指す動きも出始めていて、先月には、「イオン」の子会社のスーパーと松山市に本社があるスーパー「フジ」が経営統合に合意したと発表するなど、コロナ後を見据えた業界再編の行方が注目されていました。

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