Tuesday, April 7, 2020

厳しく困難な状況でもバランスと落ち着きを。「翻訳できない」2つのことば(ライフハッカー[日本版]) - Yahoo!ニュース

世界にはおよそ200の国があり、無数のコミュニティで暮らす何十億もの人が数千種類もの言語や方言を話しています。このような世界で人と人とのつながりが強まるにつれて、各地の文化の片隅にひそむ「翻訳できない」言葉の魅力が知られるようになりました。

それらの言葉は、その土地に根付く興味深いテーマを見事なほど巧みに表現します。(「Happiness Around the World 世界各地の幸せを巡る」より)

『幸せに気づく世界のことば』(メーガン・C・ヘイズ 著、田沢恭子 訳、フィルムアート社)の冒頭にはこう書かれています。

一方、誰にとっても重要な命題が、「どうすれば人は“よく”生きられるか」ということ。

その価値観は人と人とを強く結びつけるものの、各地の言語によって解釈の仕方は数限りなく存在するわけです。

それは、スペイン語の「ソブレメサ(sobremesa)」やトリニダード・トバゴの「ライミング(liming)」という人生哲学が表すように、大切な人と食事や会話を分かち合うことかもしれません。

あるいはフィンランドの「シス(sisu)」という考え方が示すように、困難を乗り越える気概と意思を持つことかもしれません。つまり、解釈も考え方も多種多様。

そこで本書では、それぞれの文化に根ざした、「幸せ」にまつわる50種のユニークなことばを紹介しているのです。

きょうは第5章「バランスと落ち着き」のなかから、2つのことばをピックアップしてみたいと思います。

LAGOM:ラーゴム

スウェーデン語 [副詞]

1. まさにぴったり

私たちは誰しも、「欠乏がもたらす不幸せ」や「過剰がもたらす不快感」がどんなものかを知っています。

そのため、なにかが「まさにぴったり」なときに感じる“特別なうれしさ”が、どんなものなのかを理解できるわけです。

スウェーデンの「ラーゴム」はそうした“特にバランスのとれた至福”をひとことで表現し、理性的で忍耐強い人の国を象徴するものなのだそうです。

この言葉は欲深い消費主義に代わる姿勢を表すと言われ、ケーキの大きさから部屋の湿度、さらには環境のサステナビリティに至るまで、ありとあらゆるものに対して使われる。

このことから、いかなる経験にも完璧な適量というものが存在し、私たちはそれを超えないようにすべきということがわかる。(120ページより)

そのため、「中庸は美徳」と訳されることもあるのだとか。

多くの人は、単に充足しているだけで幸せだとは思わないもの。「潤沢」を手に入れ、「たっぷり」で、さらには「あり余る」状態を達成して幸福の頂点にある人を「豊か」だと見なしがちだということです。

ところが実際のところ、そうした過剰な経験が人の心を満たすのは、それが目新しい間だけにすぎません。

どれほど大きな幸運に恵まれたとしても、やがては“普通”になってしまうわけです。

それは、「もっと、もっと」という欲望に終わりがないことを示してもいます。望みが叶ったと思っても、他に欲しいものがまた必ず出てくるということ。

そう考えていくと、ラーゴムという考え方がいかに大切なものであるかがわかるのではないでしょうか。

少しラーゴムな選択をすることによって、望ましい結果を手にすることができるといいます。

とくに、消費者中心の世界が抱える“果てしない欲望”に対抗するためには、“ほどほどの満足”でよしとすることが重要。

ゴミの出ないシンプルな材料で簡単な食事をつくってもいいでしょうし、慌ただしさとくつろぎとの間で貴重なワーク・ライフ・バランスを実現してもいいでしょう。

いずれにしてもラーゴムは、“過剰”よりも“適度”を選び、“熱狂的な蓄財”よりも“満ち足りた幸せ”を尊ぶ暮らし方だということです。(120ページより)

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