新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相の「要請」により、3月2日から全国の大半の小中高校が臨時休校となって半月が経過した。その間、現場ではどのような問題が起きていたのだろうか。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は、自身の研究所に届けられた相談を踏まえて、現場での取り組みが不十分になっている「5つの問題」を検証した。
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■24時間中、大変な数の相談が寄せられている
安倍総理大臣は、2月27日、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、全国の小中学校、高校に、3月2日から春休みまで、臨時休校とすることを要請しました。これを受けて、全国ほとんどの学校は、休校となりました。今、一部の地域で再開の動きはあります。
私は、この判断は、現在のヨーロッパなどでの感染拡大の状況を見れば、正しかったと考えています。ただし、この結果たくさんの問題が各地で生じています。子どもたちに直接関係する問題だけを整理してみます。
①すべての学校が、児童生徒たちやその保護者に対して、この臨時休校する理由をきちんと理解してもらうだけの指導を行うことができたのか。それができていないために、単なる休みと勘違いし、自由になった時間を、遊びのために使っている家族や児童、生徒がいるのではないか。
②この休業中も、本来ならば、学校で過ごす時間は、その時間割に従って、自主学習などの教育的活動に当てるべきなのに、その課題や指導を、学校現場はしているのかどうか。
③家族が働いているために、家庭で孤立せざるをえない児童、生徒たちに対するケアは、すべての学校でできているのか。
④家庭や子どもたち自身に問題を抱えている児童、生徒たちへのケアは、絶えることなく行われているのか。
⑤給食が無くなったことによって、きちんとした昼食をとることのできない児童、生徒たちへのケアはきちんとなされているのか。
私の研究所には、学校が休校になって以来、24時間大変な数の相談が来ています。それらを見る限り、上記の5つの問題に対して、各地の教育委員会や学校の取り組みは、不十分だと考えざるをえません。多くの子どもたちは、なぜ休校になり、その時間をどのように過ごせば良いのか、まったく分かっていません。
また、各地の子ども食堂、また一部の商店街や企業が、子どもたちへの昼食の提供に動いていますが、自治体や国からの直接的な援助はほぼなく、金銭的にも運営的にも追い詰められています。
ぜひ、全国の教員は、すぐにでも担当する子どもたちとの連絡を続け、その個々の状況を把握し、そして困っていることがあれば、行政等と連携し、その解決に当たって欲しいと考えます。
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