チュニジアの首都チュニスで開催されたアフリカ開発会議(TICAD)が28日、2日間の日程を終え、議論の成果を踏まえた「チュニス宣言」を採択して閉幕した。アフリカで影響力を強める中国をにらみ、支援の規模よりも「質」を重視し、持続可能な経済成長を目指すアフリカ支援を進める方針を宣言に盛り込んだ。ロシアによるウクライナ侵攻について「深刻な懸念を表明する」と明記した。
岸田文雄首相は閉会後の共同記者会見にオンラインで出席し、「日本はアフリカと『共に成長するパートナー』でありたい」と述べた。「日本はアフリカの課題克服に共に取り組むことにより成長に力強く貢献する。それを通じて日本も学び、成長する」とも語った。
また、27日の開会式で表明した、今後3年間で官民総額300億ドル(約4兆1千億円)規模のアフリカへの資金投入について「人への投資や成長の質を重視し、さまざまな課題を共に解決しながら強靱で持続可能なアフリカを実現していくためのもの」と述べ、中国との姿勢の違いを強調した。
TICADは日本が主導し、アフリカ各国首脳が参加する国際会議。過剰な債務を負わせて支配を強める中国の「債務のわな」が問題視される中、持続的な経済成長を掲げる日本流の支援を浸透させられるかが焦点だった。
全体会議に寄せたビデオメッセージでは、中国を念頭に「透明で公正な開発金融の確保が重要だ」などと強調し、アフリカ開発銀行(AfDB)との協調融資で最大10億ドルの特別枠を設けることを説明した。
ウクライナ侵攻でアフリカが深刻な食料危機に直面していることも踏まえ、食料生産能力の向上に向けた3億ドルの支援や20万人の農業分野の人材育成支援にも言及した。
首相は現地参加を予定していたが、直前に新型コロナウイルスに感染したためオンライン出席に切り替え、林芳正外相を首相特使として現地に派遣した。TICADの関連行事の合間には、チュニジアのサイード大統領やセネガルのサル大統領らアフリカの10カ国・機関の首脳らとオンラインで会談した。
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アフリカ開発会議(TICAD) アフリカの開発がテーマの首脳級の国際会議で、今回が8回目。日本政府が主導し、国連、国連開発計画、アフリカ連合委員会などと共催している。1993(平成5)年に始まり、当初は5年ごとに日本で開催したが、その後、3年ごとになった。アフリカ開催は16(同28)年のケニアが初めてで、今回で2回目。
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