Thursday, August 18, 2022

ウォルマートをレイオフに踏み切らせた3つの要因は、アメリカの小売業全体を苦しめている - Business Insider Japan

ウォルマートの本社の看板。

ウォルマートの本社の看板。

Gilles Mingasson/Getty Images

  • ウォルマートはオフィス部門約200人の人員削減を行う。
  • 同社は、インフレと経済の不確実性について繰り返し警鐘を鳴らしてきた。
  • ウォルマートの影響力と事業規模を考えると、同社の苦境は小売業全体の苦境を示すものかもしれない。

米アーカンソー州に本社を置く小売業最大手のウォルマート(Walmart)がオフィス部門の従業員約200人を削減するとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2022年8月3日に報じ、大きな話題となった。これは同社が利益の減少と経済の不確実性に対処するために方向転換を図ろうとしていることを示している。

しかし、これはウォルマートが問題に直面している兆候はこれだけではない。同社はこれまで2年近く「パンデミック・ハイ」の波に乗っていたが、2022年にはインフレ、過剰在庫、過剰雇用などへの対処に追われている。

「ウォルマートのような巨大な雇用主にとって、200人の削減は大したことではない」と登録投資顧問企業であるQuo Vadis Capitalのジョン・ゾリディス(John Zolidis)社長はInsiderに語っている。

「しかしこの動きは、事業に関する好意的なメッセージにはならない。また、キャパシティを拡張し、成長を促進するために必要な追加投資を倍増させることを示唆するものでもない」

アメリカ最大の実店舗型小売業者であるウォルマートは、この業界に大きな影響力を持っている。現在苦境に立たされているのはウォルマートだけではないようだ。競合する大型小売店のターゲット(Target)も、過剰在庫となっている衣類、家庭用品、電化製品を処分するために大幅な値引きを行うと発表している。また、コンビニエンスストアの米セブンイレブン(7-Eleven)も先日、少なくとも900人の管理部門で働く従業員を削減した。

ここでは、人員削減に至るまでにウォルマートを悩ませてきた3つの要因について説明する。

インフレ

COVID-19のパンデミック初期には、大型チェーン企業はインフレから恩恵を受けることが証明された。全米で物価が上昇し、買い物客はウォルマートのようなディスカウントやお買い得品に特化した小売店を好むようになった。

Fractal Analyticsのクライアントパートナーであるフィリップ・メルソン(Philip Melson)は2021年11月、ウォルマートは「インフレを吸収するのに必要な規模を有しており、大幅なコスト増を顧客に転嫁することもないと確信しているようだ」とInsiderに語った。

しかし、ウォルマートの顧客が購入する物を基本的な食料品だけに絞り、支出を徹底的に削減するほど物価は上昇し続けている。それに加えてガソリン価格が高騰したことで、顧客はウォルマートで食品以外の一般的な商品の購入を避けるようになった。

「食品とガソリンの値上がりは、顧客の消費行動に影響を与えている」とウォルマートのダグ・マクミリオン(Doug McMillon)CEOは7月25日、ガイダンス(利益予想)として発表した声明で述べている。

過剰在庫

物価の上昇やサプライチェーンの問題により、ウォルマートはすぐには売り切れないほど過剰な在庫を抱えてしまっている

ウォルマートは前四半期末に在庫が32%増加したと発表した。それを示すように店舗勤務の従業員はバックヤードの恐ろしい状況をInsiderに語っており、歩けなくなるほどの無数のパレット、授乳室やトイレへのアクセスを妨げるほどに積み上げられた箱、さらには屋外のトレーラーも過剰在庫であふれているという。

ウォルマート本社は、ホリデーシーズン前までにはこの過剰在庫を処理しようとしている。7月下旬に各店長に向けて送られた社内メモによると、同社は過剰在庫を軽減するために、自動で在庫を補充するシステムをオフにすることを各店舗に許可したという。

また、ウォルマートは業績予想の修正を発表すると同時に、ロールバック(特定の商品を長期間割り引いて販売すること)とマークダウン(当初価格より値下げすること)によって過剰在庫を一掃するよう店長に命じた。

過剰雇用

パンデミックの初期には利益をもたらした戦略的決定も2022年には問題となった。

競合他社と同様、ウォルマートも2021年末にCOVID-19に関連した人員不足をカバーしようと大量に雇用した。5月の決算報告でマクミロンCEOは、こうした「数週間に渡る過剰な雇用」が同社の収益に打撃を与えたと発表した。

「オミクロン株の症例数が第1四半期前半に急速に減少し、COVID-19に感染して休んでいた社員の多くが、予想よりも早く職場に戻ってきた」と彼は述べた。

「2021年末に、休職者をカバーするために多くの人員を雇用したため、結局、数週間にわたって過剰人員となってしまった。この問題は主に自然減によって当四半期中に解消している」

ビジネスの世界では、いくつもの大企業が「過剰雇用」を問題視し、その解消のためにレイオフに踏み切っている。

[原文:Walmart was riding a pandemic high for nearly two years. Then it laid off hundreds — here are 3 issues that have plagued the company.

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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