夏、皮膚が敏感な乳幼児は日焼けだけでなく、「あせも」や「かぶれ」などの皮膚トラブルに悩まされる。これらのトラブルは皮膚の防御機能を損ない、将来のアレルギー疾患の誘因になる恐れもあり、十分なスキンケアが大切だ。
「乳幼児の皮膚の厚さは成人のほぼ半分しかない。バリアー機能が未熟で、水分蒸散量も高い。そのため、外部からの刺激に弱い」。日本小児アレルギー学会理事で、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の池田政憲特命教授はこう指摘する。その上で、「乾燥していたり、湿疹が起きていたりすると、ハウスダストや食物など将来アレルギーを引き起こす原因物質が侵入しやすくなってしまう。予防のためには十分な保湿や早めの治療を心掛けてほしい」と強調する。 アレルギーの多くは原因物質が体内への侵入を繰り返すことで発症することが多く、感受性が高い乳幼児期は特に侵入リスクを減らすことが重要になる。そのためには皮膚の防御機能を維持できるかが大きな問題になる。 皮膚の防御機能を左右するのが、保湿と洗浄、あるいは予防的なスキンケアだ。池田教授は「乳幼児期にアトピー性皮膚炎を発症してしまうと、その後、食物アレルギーや『ぜんそく』などさまざまなアレルギー疾患を発症(アレルギーマーチ)する確率が高まってしまう。」と警鐘を鳴らす。 皮膚の洗浄も、大人と同じというわけにはいかない。同教授は「乳幼児は大人と同じ数の汗腺があり、また新陳代謝がよく、汗をかきやすい。乳幼児用の洗浄剤などを使って、丁寧かつ小まめに洗うことが望ましい」と言う。 また、頭部は体の10倍も皮脂を分泌する皮脂腺があるため、皮脂汚れがたまりやすい。頭皮専用のシャンプーを使って丁寧に洗髪しよう。
小まめに洗った後は、皮膚の保護も欠かせない。現在では刺激の少ない乳幼児専用の保湿剤も販売されているので、よく選んで使用したい。 同教授は「適量がよく理解されていない。量が少なすぎて適正な保湿ができないこともある」と指摘する。目安は、1円玉程度のローションを赤ちゃんの肌に大人の手のひら2枚分の広さでゆっくり塗り広めること。塗った後でティッシュペーパーが貼り付くくらいが目安だという。 このような乳幼児に対するスキンケアの重要性はまだまだ周知されていない。乳幼児用スキンケア商品を扱う翠松堂製薬(東京都中央区)が妊産婦計1000人を対象にしたアンケート調査では、子どものアレルギーを心配しているのは妊婦で8割、出産後でも6割いるのに対して、アレルギー予防を目的としての保湿に取り組んでいる母親は2割強にとどまっていた。また、保湿を始めるべき時期は「出産直後」が望ましいが、「出産後1カ月以降」という回答が多く、正しい情報が伝わっていないことが分かっている。 池田教授は「アレルギーにしたくないと考える母親が多いが、予防のための保湿の時期や、アレルギーの発症と肌の状態に関連があることが十分に理解されていない。より一層の啓発が必要」と説明している。(喜多壮太郎)
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