Friday, July 23, 2021

「コロナと闘う」過剰な物語 飯笹佐代子教授 開会式を見て/3 - 毎日新聞 - 毎日新聞

東京オリンピックの開会式で五輪旗を運ぶエッセンシャルワーカーとして奉仕しているアスリートたち=国立競技場で2021年7月23日、佐々木順一撮影
東京オリンピックの開会式で五輪旗を運ぶエッセンシャルワーカーとして奉仕しているアスリートたち=国立競技場で2021年7月23日、佐々木順一撮影

 23日夜に国立競技場(東京都新宿区)であった東京オリンピックの開会式。大会の個性やメッセージが表れるイベントをどのように見たか。青山学院大の飯笹佐代子教授(多文化社会論)に話を聞いた。

目指すメッセージは後景に

 開会式は、五輪に対する開催国の姿勢や理念を表現する重要な場だが、明快なメッセージ性を感じることができなかった。演出チームの解散や主要メンバーの辞任・解任が相次ぐなど体制が迷走したことも影響したと考えられる。

 式典で過剰なまでに強調されていたのは、新型コロナウイルスとの闘いという物語だった。「コロナ禍」でトレーニングに励むアスリートの苦悩や葛藤を表現し、聖火ランナーには医師や看護師を起用した。政府が新型コロナの感染拡大をうまく制御できておらず、五輪開催に批判的な世論に配慮したのかもしれない。

 一方で、日本が一体どんな歴史を歩み、どのような文化的背景を持つ国なのか、そして五輪を通じて何を目指しているのかというメッセージは後景に退いた。

 「多様性」を押し出したい姿勢はにじんでいた。…

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