果敢な働き方肯定するような語句
「輝業」について知るきっかけとなったのは、7月16日に開催した、ツイッタースペース上での会話です。 筆者は、「人材」をもじった「人財」などの語彙(ごい)を「啓発ことば」と命名し、その起源を探っています。これらの造語は、なぜ量産され続けるのか。「成長」をテーマに、創作活動に取り組む漫画家・紀野しずくさんと、スペースで語らいました。 意見交換の途中、「実は調べてほしい言葉があるんです」と話した紀野さん。近々、連載作品『夫は成長教に入信している』で「輝業」を取り上げるので、使われるようになった理由が知りたい……とのことでした。 字面からは、積極的で、果敢な働き方を肯定するニュアンスが感じ取れます。単調な労働ではなく、世間に認められるような、価値ある事業に挑戦しなさい――。以前考察した、「仕事」に由来する語句・「志事」の意味合いと、どこか響き合うようです。 勤労を通じた自己実現への信頼感を表している印象も強い、「輝業」という語句。その成り立ちに迫るため、筆者は、用例を集めることにしました。
“危業”が示唆する“輝業”の本質
手始めに、新聞や雑誌などの過去記事を調べてみました。データベース「日経テレコン」で、「輝業」と検索してみると、表示されたのは399件のコンテンツ。最も古いものが、1990年に公開された外資系企業幹部へのインタビューです。 同年10月3日付けの日経産業新聞は、米国系トイレタリーメーカー・ジョンソンの上田和男常務(当時)の発言を報じています。上田さんは、ユーザー本位で事業を展開する大切さを説きつつ、次のように語りました。 「メーカーもいつまでも製造だけしていればいいという考え方ではダメだ。“危業”になってしまう」 「選ばれるというのは、喜ばれること。消費者に喜ばれる“喜業”となって、いつも輝いている“輝業”をめざしたい」 ――1990年10月3日付け 日経産業新聞 上田さんによれば、当時の同社は認知度向上が課題でした。購買層を厚くする上で、消費者とのコミュニケーションを図る戦略を描いていた、とみられます。そのスタンスは、商品開発に重きを置く、昔ながらのメーカーのあり方と異なる、と考えていたようです。 記事の中で、旧態依然とした商習慣になじむ企業を、“危業”と表現した点は注目に値します。“輝業”という語句が、これとは対照的に、時流を読んで経営体制を刷新できる組織を指す、と示唆されるからです。
からの記事と詳細 ( 「企業」じゃなくて「輝業」使う理由 20年前の〝成功神話ブーム〟過剰な「夢」と「努力」が生む息苦しさ(withnews) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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