フェイスブックやスウェーデンの音楽ストリーミングサービス大手スポティファイ・テクノロジー、ゲーム「フォートナイト」の開発会社エピック・ゲームズをはじめ、多くの企業がアップルのアップストアの運営方法に異議を申し立てている。
アナリストの推計によると、アップストアの年間売上高は150億ドル(約1兆6000億円)以上に上る。アップルは、この数億人のユーザーとモバイルアプリとをつなぐ玄関口を巡り、アプリ開発会社から過剰な分け前を徴集し、独占的な影響力を行使しているとして一部から批判されている。
そうした主張にアップルは反論。アップストアで配信されている200万近いアプリのごく一部から売り上げの一部を受け取っているにすぎず、こうした慣行は競合のアプリ配信サイトと同様のものだと述べている。最近のアップストア・モデルに対する異議申し立てと、それが消費者やアップルに何を意味するかについて以下にまとめた。
手数料を巡る衝突
アップルはアップストア内で販売されている有料のアプリやデジタル商品について、30%の分け前を受け取っている。多くの企業がこの手数料が過剰だと不満を訴え、別の決済システムでのデジタル取引を認めるようアップルに迫っている。アップルの手数料はグーグルのアプリストア「グーグルプレイ」やサムスン電子の「サムスン・ギャラクシー・ストア」の手数料と同水準だ。アップルは、手数料はセキュリティーやプライバシーに関わる諸経費を賄うためのものだと説明している。
エピック・ゲームズは先月、アップルの手数料を回避するため、iPhone(アイフォーン)とiPad(アイパッド)版の「フォートナイト」に独自の決済システムを加えた。アップルはエピックが規約に違反したとして、すぐにフォートナイトをアップストアから削除。両社は現在、この問題を巡って互いに提訴している。エピックは決済システムを変更することなく「フォートナイト」をアップストアに戻すべきだと主張。一方、アップルはエピックの行為を不公正だとして差し止めを求めている。
裁判所は先月、アップルが当面は「フォートナイト」をアップストアから削除することは認めたが、エピックはソフトウエアの更新に使用する開発者ツールにアクセスできるとの判断を下した。この件に関する法廷審問が28日に予定されており、裁判は来年開かれるもよう。
手数料の対象
アップルはデジタル商品やサービスに30%の手数料を課している。これは、顧客が「フォートナイト」の武器の購入でエピックに支払った金額は手数料の対象となるが、スターバックスのモバイルアプリで購入したコーヒーの代金は対象にならないことを意味する。アップストア経由で購入される定額制サービスについては、2年目以降のアップルの取り分は15%に減少する。アップルは、アップストアを通じて配信するソフトウエアを提出している開発会社からも、非営利組織と政府機関を除いて年間手数料を徴収している。
アップルへの分配を回避するため、ネットフリックスやスポティファイなどの企業は自社のアプリではなくウェブサイト経由で定額制サービスやコンテンツを販売し始めている。アップルは、アプリ内で別のサイトで定額制サービスに登録できることや、アップルの手数料を相殺するためにアプリ内購入にはより高い価格が設定されていることについて言及することを禁じている。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて、実世界の商品からデジタル商品の販売に切り替えた企業(現在は料理教室などのバーチャルな体験を販売している民泊仲介大手エアビーアンドビーなど)は、アップルがそうした売り上げの分け前も取ろうとしていると不満をもらしている。
競争阻害
一部のアプリ開発会社は、アップルが競争を制限し、アップストアの検索結果で競合製品よりも自社製品が上位に表示されるようにしていると話している。音楽ストリーミングサービス「アップルミュージック」でアップルと競っているスポティファイは昨年欧州で、アップルがアップストアで競合サービスのマーケティングを難しくしているとして、反トラスト法(独禁法)訴訟を提起した。
スポティファイは今月、アップルが「ミュージック」を含む複数のサービスを割引価格で利用できる新たなバンドルサービスを発表したことを受け、競合他社を不当に阻害していると公に非難した。スポティファイの広報担当者は、アップルがその市場力とアプリ配信サイトを利用して自社製品を優遇していることを懸念していると述べた。
アップルは新たなバンドルサービスを擁護し、「既に加入している定額制サービスに基づいて、最も出費を節約できる」プランだと売り込んだ。
マイクロソフト、フェイスブック、出会い系アプリ「ティンダー」 を運営するマッチ・グループ、オーディオブックス・ドットコムもアップルの慣行について公に不満を訴えたり、同社を独占的と表現したりしている。アップルは自社製品を優遇していないと繰り返し述べている。
米連邦議会、米司法省、欧州連合(EU)、米連邦取引委員会(FTC)はアップルをはじめとするIT(情報技術)大手を反トラスト法違反の疑いで調査している。米最高裁は昨年、消費者がもっぱらアップルからアプリを購入するよう強いられていることを理由に同社を提訴できるとの判断を下した。これは、開発者がアプリを直接販売し、アップルを経由せずに済めば、価格がもっと安くなるとの原告の主張を認めたものではない。アップストアの慣行を巡って開発者らが昨年提起したこの訴訟は現在、カリフォルニア州の連邦裁判所で進行中。
アップルに勝てる相手とは
世界有数の企業と争う場合、大物であることは後押しになる。米歌手のテイラー・スイフトさんは2015年、アップルミュージックの3カ月無料試聴サービスについて、ユーザーがその期間に音楽をストリーミングしてもアーティストには使用料が支払われないと苦情を申し立てた。アップルは後に方針を転換し、試聴期間中のストリーミングについてもアーティストに使用料を支払っている。
アマゾン・ドット・コムは2015年、アップストアの手数料を引き下げることに成功。「アマゾン・プライム・ビデオ」の定額利用料に対する手数料を15%に設定する取引を交わした。他のアプリは全て、定額デジタルサービスの初年の利用料には30%の手数料支払いが義務付けられている。アマゾンは4月、アップルの同意を得て「プライム・ビデオ」の購入手続きに独自の決済システムを使用し始めた。アップルによると、アマゾンがそれを許されているのは「有料定額動画エンターテインメント提供会社」向けのプログラムに参加しているためだという。同プログラムの参加企業は、顧客の既存の定額制動画サービスにひも付いた決済方法を使用できる。
ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙などのニュース会社を代表する業界団体は8月、定額購読サービスの販売についてアップルに契約条件の改善を求めた。
アップルは25日、モバイルアプリ経由で販売される一部の有料イベントや体験について、2020年末まで手数料を免除すると発表した。同社の広報担当者は、パンデミックによって集会やイベントの多くが中止に追い込まれ、オンライン体験に切り替えざるを得なくなった企業に配慮したものだと説明した。
アップルの次の動き
アップルは44年前にカリフォルニア州ロスアルトスのガレージで誕生して以来、数多くの争いに直面しており、相手に譲歩することはまれだ。しかし、過去の相手はアップルの音楽サービス「iTunes(アイチューンズ)」や電子書籍の価格設定などについて不満を訴えていたのに対して、現在の相手はティム・クック最高経営責任者(CEO)がアップルの将来の中心に据えている収入源を標的にしている。一部のソフトウエア開発会社は非営利組織を結成し、アプリ配信サイトに変化を迫っている。アップルが裁判所や規制当局の判断によってルールを修正するかどうかや、抵抗に直面しても方針を断固として変えないかどうかは分からない。
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