英語でトリガー・ハッピーといえば、ささいなことに対し暴力、主に銃を使うことをためらわない人の意味らしい▼米黒人ソウル歌手、マービン・ゲイが「インナー・シティ・ブルース」で歌っている。発表から半世紀となる名盤「ホワッツ・ゴーイン・オン」のB面の最後の曲といえば思い出す方もいるか。<トリガー・ハッピーの警察。パニックは広がる。ぼくらはどこに向かうのか。神のみぞ知る…>▼米国のすべての警察官がトリガー・ハッピーだとは言わぬが、警察による過剰な暴力を考える上でこの判決は大きな意味を持つ。昨年五月に起きた黒人男性ジョージ・フロイドさん暴行死事件でミネソタ州地裁は当時警察官だった被告に対し、第二級殺人などの罪状で有罪とする評決を出した▼被告に膝で首を押さえられたフロイドさんが「息ができない」とうめく当時の映像が嫌でも浮かぶ。その後の反黒人差別運動の契機となった事件でもある▼米国では警察官が職務上、容疑者を死に至らしめても訴追されるケースは少なく、殺人で有罪となるのはまれだという。正当防衛が認められやすい上、殺意を立証するのが難しいためと聞くが、訴追されにくいと知っていれば、警察官はトリガー・ハッピーに陥りやすかろう▼そしてその過剰な暴力の最大の犠牲者が黒人である。有罪評決に歓喜の涙を流している理由が分かる。
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