2021年04月21日20時31分
【ミネアポリス時事】「有罪だ」―。米ミネソタ州ミネアポリスの裁判所前では20日、黒人男性ジョージ・フロイドさん暴行死事件で元警官デレク・ショビン被告が問われた三つの罪状一つ一つについて、評決が伝えられるたびに叫び声が上がった。集まった数百人の市民らは抱き合う人、涙を流す人、全罪状での有罪に驚く人がいた。
白人元警官、殺人で有罪 遺族評価、デモ再燃回避―米黒人暴行死
一連の評決が歓喜に沸いたのは、米国では実力行使で黒人をはじめ他者を死亡させた警官が有罪になるのは非常にまれなためだ。
公民権運動団体「全米黒人地位向上協会(NAACP)」によると、米国では年間900~1100人が警官に射殺されている。これに対し、ボーリング・グリーン州立大の研究チームの調査によると、2005~19年6月に職務中の発砲で他者を死亡させたとして、逮捕された警官(連邦捜査官は除く)は104人で、うち有罪となったのは35人。殺人罪での有罪はわずか4人だった。
米国の警官は一般的に合理的な喫緊の危険性があれば、致死的な実力行使が容認されている。また警察組合が捜査から警官を守っていることも、有罪に至る例が少ない理由と報じられている。
しかし近年、スマートフォンとSNSの利用拡大から、警官による過剰な実力行使の問題が表面化し始め、抗議デモが活発化。特に今回の事件では、被告が反応しなくなったフロイドさんの首への圧迫を続ける様子を撮影した動画は裁判で強力な「証拠」になった。
裁判所前で「撮影されていない人は何人?」と書かれた紙を掲げていたソマリア系の黒人で銀行員のアシル・ミレさん(28)は、「殺人罪から逃れている警官はたくさんいる。きょうのような正義を得られなかった遺族を思うと涙が出た。彼らは抗議デモに何度も来て(犠牲者の)名前を記憶してもらおうとしたが、もう誰も覚えていない」と訴えた。
ただ、今回の有罪評決が全米の警察組織にどのような影響を及ぼすのかは不透明だ。昨年の大規模デモにもかかわらず、地元住民は、一様に人種問題や警察の取り締まりで特に変化を感じていないと答えた。評決に「変化の始まり」を期待する人もいれば、「今後も抗議デモと死亡事件を繰り返すだろう」と冷めた見方もあった。
黒人のオバマ元大統領夫妻も声明で「きょうの評決は前進への必要な一歩かもしれないが、十分な一歩からは程遠い」と述べ、人種差別の是正に向けた具体的な司法改革の実現を訴えた。
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