
政治はどうしても耳あたりのいいことを言いがちだ。しかし、社会保障については負担が限られていればサービス(給付)が限定的になるのは必然だ。今期かぎりで衆院議員を引退した。力を注いできたことの一つが社会保障だ。
給付と負担どこかで固定しなければ
社会保障は給付と負担のバランスの上に成り立っている。サービスを増やせばその分だけ、誰かが負担しなければならない。だから、どこかでこのバランスを「ピン留め」し、固定する必要がある。
「消費税は10%、高齢者の医療費窓口負担は1割、政府管掌健康保険と全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の保険料率は10%」。この三つの「10」のなかで給付と負担を考えるべきだというのが私の考えだ。
消費税率、あるいは保険料率を上げればもっとサービスを増やせるという考え方もあるだろう。しかしそれは安易だ。「消費税率10%」のような負担の上限を決めたうえで、サービスを効率化する。過剰な医薬品や多剤併用、多すぎる検査など改善すべき問題は多い。
本当に必要な基本的なサービスは保障したうえで、それ以上に求めるものがあれば自己負担で選択してもらう。これからの社会保障は「多様なメニューと選択」になる。グリーン車はあるけれども、普通車もある。普通車は自由席だけれども、自己負担は限定的で、みながそれなりに安定したサービスを受けられる。
気候変動 政治家は甘く見ている
もう一つ取り組んだのは気候変動の問題だ。環境相として出席した2008年の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)は気候変動に対する世界の関心が急速に高まる中で開かれた。それまでは関心がある人に限られたテーマだったが、サミットを機会に国際社会のなかでもっとも重要な、普遍的なテーマの一つになった。
サミットでは福田康夫首相(当時)のもとで、中国の胡錦濤国家主席(当時)と交渉するなどした。ただ、当時は総論が中心で、再生エネルギーや原発の問題をどうするのかといった各論は深まっていなかったと思う。
当時は気候変動の影響といってもあまり具体的には感じていなかった。しかし、その後巨大なハリケーンや水害などが世界中で起きるようになり、被害が目に見えるようになってきている。特に若者は気候変動について、非常に深刻に考えているし、悲観的にもなっている。若者の危機感に比べればまだまだ政治家はこの問題を甘く見ている。
ワクチンPTの座長として
コロナ禍では自民党新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチーム(PT)の座長を務めた。…
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