宮城県白石市白石一小の防球ネットの木製支柱が折れて6年生男児2人が死傷した事故で、有識者でつくる事故調査委員会は14日、「事故原因は学校などの不十分な安全管理」とする報告書を市教委に答申した。

調査委は、不十分な安全管理について「支柱設置の目的や経緯の記録がなく、劣化への認識が欠如していた」などと四つの要因を列挙。そのうち防球ネットがサッカーゴールとして利用され、児童が日常的に支柱やネットに寄り掛かっていたことに関しては「等閑視(とうかんし)されてきた」と指摘した。
再発防止策では「多元的な視点による点検と改善」「(設置物の)用途の明確化と登録」「(点検内容や項目の)重点化」を提言した。具体的には施設老朽化や自然災害の大規模化を念頭に、「前年度踏襲の安全点検計画や方法のままでよいはずがない」と日常的な改善の必要性を強調した。
宮城教育大教職大学院教授の本図愛実委員長は「支柱は風景と化して倒れないものと思われていた。30年間、登録や引き継ぎがされなかったのが問題」と語った。市教委の半沢芳典教育長は「悲惨な事故が二度と起こらぬよう対策を進めていく」と誓った。
調査委によると、事故は4月27日午後3時5分ごろに発生。児童数人がネットに寄り掛かって遊んでいた際、高さ6メートルの支柱1本が根元から折れ、頭を強く打った1人が死亡、1人が顎を骨折した。支柱は1989年7月4日、学外のスポーツ団体が設置したと推認できるという。

設備の点検や補修が進む市内の教育現場
白石市白石一小の児童死傷事故を受け、市内の教育現場では設備の点検や補修が進む。学校内の危険をできる限り取り除こうと、教職員の意識は高い。
白石東中では今月末、校舎と校庭を結ぶ階段の補修工事が始まる。30年以上が経過したコンクリートの階段は、へりの部分が崩れている。白石一小の事故を契機に補修が決まった。
同校は市教委が指定した点検項目にさらに項目を加え、安全点検に力を入れる。岩山悦朗校長は「白石一小の事故を東日本大震災と同じように語り継いでいくことが大事だ」と話す。
市教委によると、本年度は白石東中を含め小中と幼稚園の計6カ所で補修工事や幹が空洞化した老木の伐採を行う。補修が必要な遊具などはまだ数十カ所あるといい、使用頻度や緊急性を見ながら順次対応する。
教職員の安全点検への意識付けでは7月、小中学校などの40人を対象に講習会を開催し、点検用機器の使い方などを学ぶ場を設けた。市教委学校管理課の佐藤哲生課長は「一過性で終わってはいけない。人が代わっても10年、20年と意識を継続させられるような方策を考えたい」と語る。
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