Thursday, March 5, 2020

感染拡大と情報 「正しく恐れる」が大切だ - 西日本新聞

 感染症対策の敵はウイルスだけではない。情報の不足や悪意がもたらすデマ、不安や恐怖が引き起こす差別感情も、社会に深刻な問題を引き起こす。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大でも、インターネットの会員制交流サイト(SNS)を中心に誤情報やデマが広がっている。このウイルスにはまだ未知の要素が多い。怖さや不安が募ることは仕方ないが、こんな時こそ混乱を広げぬよう、冷静な行動を心掛けたい。

 トイレットペーパーの品不足が続いている。SNSで「中国から原材料を輸入できない」といったうわさが駆け巡り、買い占めが多発している。トイレットペーパーはほぼ全量が国産であり、在庫も十分だという。落ち着いて入荷を待ちたい。

 マスクの増産も始まっているが、依然入手は難しい。世界保健機関(WHO)は予防的なマスク着用の必要はないとの見解を示した。持病がある人などはそれでも不安だろうが、大量な備蓄は控えるべきだ。医療機関や高齢者施設にマスクが届かない事態にもなりかねない。

 冷凍やレトルトの食品、米なども品薄になっている。各地で学校が突然、長期休校となり、子どもの昼食用にまとめ買いする共働き家庭も多い。不安に駆られて過剰な備蓄に走る人も少なくないだろう。

 政府は「在庫は十分」「増産が始まった」といった説明を繰り返すが、店頭に並ぶ商品が少なくなれば、不安が高じるのも消費者心理だ。政府や業界団体は具体的な供給量や増産スケジュールなど、より丁寧に情報を発信することを求めたい。

 まとめ買いをしてネットオークションでの高値転売などの行為も後を絶たない。運営会社は規制を強化してほしい。

 特効薬のない感染症への恐怖は容易に差別や排除に転じる。2009年の「新型インフルエンザ騒動」では集団感染が起きた学校に非難が集中するなど差別的行為が全国に広がった。

 今回も同様の事態が各地で散見される。日本災害医学会は、クルーズ船で対応に当たった医療従事者が職場で「ばい菌」扱いされたり、子どもの保育園への登園自粛を求められたりするといった不当な扱いを受けたと声明を発表した。決して容認できない出来事だ。

 ここで思い起こしたいことがある。特定の病への偏見と差別感情があっという間に多くの人の心に浸透し、何の落ち度もない人々を深く傷つけた歴史を、私たちはハンセン病問題などを通して学んできたはずだ。

 今こそ教訓を生かす時だ。最新の正しい情報の入手に務め、冷静さを失わぬようにしたい。

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