三井物産は液化天然ガス(LNG)の供給不足が続くとの認識を背景に、今後も案件の分散投資を推進する。脱炭素社会に向けた再生エネルギーの十分な普及には相当な時間を要するため、化石燃料ではあるが比較的環境負荷が少ないLNGへの需要は今後も旺盛だとみるからだ。
同社の堀健一社長は10日のブルームバーグとのインタビューで「数十年にわたるトランジション(移行)に必要な量を考えると、発表されている案件だけではまだLNGの不足感がある」としたうえで、「世界中で分散調達」できるようプロジェクトを進めることが重要だと述べた。
ロシアのウクライナ侵攻やハマスによるイスラエル奇襲など地政学的なリスクによりLNGを含めた天然資源の安定供給に不透明感が一層強まっている。一方で再生エネルギーの導入が徐々に進んでも十分な普及には時間を要するためLNGの需要は当分解消されない可能性がある。こうした声は、石油メジャーの一角を担う米 シェブロン、英 シェルなどからも上がっている。
三井物産は1970年代からLNG案件へ 参画。日本が輸入の約9%を依存するロシアでも「サハリン2」などの権益を所有し、さらなるリスク分散が課題だ。堀氏は分散調達先として米国、中東やアフリカに触れた上で「カタールは歴史的にも日本との関係が非常に深い」とし、「非常に大事な調達先」だと述べた。政府も同国に安定供給を働きかけている。
一方、前期に純利益1兆円超えを達成した同社は再生エネルギー事業でも着々と布石を打っている。7月に同社はメタノール製造のカッソ・ミドコ(デンマーク)の株式49%を取得すると発表。環境負荷のほとんど無いメタノール(eーメタノール)の世界初の大規模商用製造・販売事業に乗り出している。このほか、台湾の洋上風力発電などにも参画している。
稼ぐ力で還元増も
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が大株主であり、事業展開にも同氏のお墨付きを得ている格好の同社は、2026年3月期までの3カ年中期経営計画を5月に発表。成長投資と追加還元を柔軟かつ戦略的に行うための資金約1兆1300億円を計上している。
堀氏はこの資金の使途について「全体のバランスを考えながらやっていく」と述べるにとどめたものの、「ベースとなる稼ぐ力が上がっていけば、配当も上げていきたい」とさらなる株主還元に含みを持たせた。
からの記事と詳細 ( 三井物産社長、LNG供給不足で分散投資を推進-再生エネ普及に ... - ブルームバーグ )
https://ift.tt/bdIlq7t
0 Comments:
Post a Comment