レノボ・ジャパン合同会社は7月28日、U字キックスタンドを搭載した13型と11型のAndroidタブレットを発表、現在販売中だ。今回は下位モデルの11型「Yoga Tab 11」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
ミドルクラスとして十分のパワーを持つ11型
この日発表されたのは13型の「Yoga Tab 13」と、11型の「Yoga Tab 11」。どちらもAndroid 11搭載のタブレットだ。特徴としてはU字のキックスタンドがあり、タブレット、スタンド、チルト、ハングといった使い方(設置)ができる。
両モデルで内部的な大きな違いはSoCで、前者はハイエンドのSnapdragon 870/メモリ8GB。そしてMicro HDMI入力を搭載し、モバイルディスプレイとしても機能する。こちらに関してはすでにレビューが載っているので、興味のある方は合わせてご覧いただきたい。後者はミドルクラスのHelio G90T/メモリ4GB(または8GB)。こちらはディスプレイ入力なし。見た目は扉の写真とほぼ同じのサイズ違いだ。
手元に届いたのは11型の「Yoga Tab 11」のメモリ8GB、ストレージ256GBモデル。主な仕様は以下の通り。
Lenovo「Yoga Tab 11」の仕様 | |
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SoC | MediaTek Helio G90T(2×2.05GHz+6×2.0GHz)、GPUにMali-G76 MC4を内包 |
メモリ | 4GBまたは8GB/LPDDR4X |
ストレージ | 128GBまたは256GB |
OS | Android 11 |
ディスプレイ | 11型ワイドIPSパネル(2,000×1,200ドット)、Dolby Vision対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB Type-C(USB 2.0)、microSDカードスロット(最大512GB)、JBLスピーカー×4、マイクロフォン×2 |
センサー | 加速度センサー、光センサー、ジャイロセンサー、TOFセンサー |
カメラ | 前面:800万画素(FF)/背面:800万画素(AF) |
バッテリ/駆動時間 | 7,500mAh/約15時間 |
サイズ/重量 | 256.8×169×7.9-23mm(幅×奥行き×高さ)/重量約650g |
価格 | 4万2,900円前後(4GB+128GB)/4万9,500円前後(8GB+256GB) |
SoCはMediaTek Helio G90T。2×2.05GHzと6×2.0GHzのオクタコアで、GPUにMali-G76 MC4を内包する。出荷自体は約1年前。ただし製造プロセスは12nmと他社より遅れ気味だ。MediaTekと聞くとあまり速くない印象を受けるが、ベンチマークテストの結果、Snapdragon 730Gと同等のパフォーマンスを叩き出すことが判明した。メモリはLPDDR4 4GBまたは8GB、ストレージは128GBまたは256GB。OSはAndroid 11を搭載する。
ディスプレイは、11型ワイドIPSパネル(2,000×1,200ドット)。Dolby Visionに対応する。13型にあるMicro HDMI入力がないのは残念なところか。特徴としては先に書いたように、U字のキックスタンドを搭載、卓上で自立可能な他、フックなどに引っ掛けても使用できる。
ネットワークは、IEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0。インターフェイスは、USB Type-C(USB 2.0)、microSDカードスロット(最大512GB)、JBLスピーカー×4、マイクロフォン×2。3.5mmジャックはない。別売(6,600円)になるがLenovoプレシジョンペン2に対応する。
センサーは、加速度センサー、光センサー、ジャイロセンサー、TOFセンサーを搭載。カメラは前面:800万画素(FF)、背面:800万画素(AF)。
7,500mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約15時間。サイズ256.8×169×7.9-23mm(幅×奥行き×高さ)、重量約650g。価格は4GB+128GBモデルで4万2,900円前後、8GB+256GBモデルで4万9,500円前後。大手メーカー製のミドルクラスとしては妥当なところだろうか。
なお13型のYoga Tab 13は8GB+128GBモデルで8万7,780円前後。パネルサイズ(2,160×1,350ドット/sRGB 100%)、ハイエンドのパワー、USB 3.1 Type-C、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、Micro HDMI入力……と構成が違うとは言え、こちらは少し割高な感じだ。
筐体はグレーのメタリック調、背面上半分強がファブリック素材と高級感があり、かつカジュアルな感じと独特の雰囲気を持つ。重量は実測で632g。同じ11型でも「Tab P11 Pro」は486gと、11型としては重めだ。主に特徴であるU字キックスタンドの有無がその差となるだろうか。
前面はパネル中央上に前面カメラ。フチはそれなりにある。背面は右上に背面カメラ。半分強にファブリック素材を使用。下側にU字のキックスタンド。左側面はType-C、電源ボタン、音量±ボタン、microSDカードスロットを配置。右側面には何もない。またU字キックスタンドの下の部分にステレオスピーカーが埋め込まれている。
付属品は、ACアダプタ(48×40×22mm、重量51g、出力5V/3A、10V/2A、12V/1.67Aの20Wタイプ)、USB Type-A/Type-Cケーブル。
さて、この本機独特のU字キックスタンド、扉の写真のように大きく傾けて設置し、そのまま映像を観るのはもちろん、例えばBluetoothでキーボード/マウス(タッチパッド)を接続、後述する生産性モードを使いノートPCっぽく使うのもありだろう。またスタンドを出さずに円柱の部分だけ使い、あまり傾けずペン入力でと言った用途も可能。またU字なので、フックなどにかけることもできる。これは台所などで使う時便利かもしれない。
ただ手で持つ場合、横位置はまだいいが、縦位置はこの出っ張りで持ちやすい人もいれば、左右で厚みが変わり違和感と言う人もいるだろう。また先に書いたが、手で持ち続けるのに600g超えは少しつらい。
11型のディスプレイはIPSパネル(2,000×1,200ドット)でアスペクト比16:9.6。16:9より少し広いが16:10よりは少し狭いと言う微妙な感じだ。明るさ、発色、コントラスト、視野角は全く問題ない。写真からも分かるように発色も良く、写真も映像も楽しめる。
発熱は試用した範囲では特に気にならなかった。サウンドは横位置時にステレオとなる。U字キックスタンドの下の部分にスピーカーがあり、扉の写真の使い方だと、音が机に反射し低音やボリュームが増す。とは言え、もう少しパワーが欲しいところか。
カメラは前面/背面共に800万画素。ただし前面は固定フォーカス、背面はオートフォーカスとなる。前面/背面共に写真、動画に加えポートレートモードがあり、ボケ具合と美肌が調整可能だ。
前面カメラは固定フォーカスなので写りは甘いが発色は悪くない。画面1/4程度のサイズでビデオ会議などで使うならいける感じだ。
背面カメラの写りはやはりタブレット並み。今時のローエンドスマホの方が写りは良い。写真やビデオを撮るなら手持ちのスマホを使った方がいいだろう。コストの問題もあるとは思うが、そろそろこの点は(Apple以外)他社も含め何とかして欲しいところ。
ほぼ素のAndroidでシンプルな操作性
初期セットアップは、Wi-Fiに接続後、Googleアカウントなどは設定せず、新規として作業した。計11画面。キッズスペース用の13歳/18歳以上の確認パネルがあるので1画面多いが、素のAndroidそのままとなる。認証は顔のみ。指紋には非対応だ。パターン/PIN/パスワード設定後、登録可能。認証は一瞬で終わる。
ホーム画面はDockにGoogleフォルダ、フォト、カメラ、アシスタント、Chrome、Playストアを配置。1画面目はキッズスペース、Duo、YouTube、Netflix、設定、ヒント。2画面目にAppsフォルダ、カレンダー、Google Pay、ニュース、Podcasts、Microsoftフォルダ、Amazon Music。
ストレージは256GB中18.18GBが使用済み(若干の画面キャプチャを含む)。IMEはFSKAREN。クイックアクセス/通知エリアやホームの設定 / ウィジェット / 壁紙は従来通り。ナビゲーションのデフォルトはジャスチャー式だ。
インストール済みのアプリは、「アシスタント」、「カメラ」、「カレンダー」、「キッズスペース」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「ヒント」、「フォト」、「マップ」、「音声レコーダー」、「時計」、「設定」、「電卓」、「連絡先」、「Amazon Music」、「Bamboo Paper」、「Chrome」、「Dolby Atmos」、「Duo」、「Files」、「Fit」、「FSKAREN」、「Gmail」、「Google」、「Google One」、「Google Pay」、「Google Playムービー&TV」、「Home」、「Keepメモ」、「Netflix」、「Office」、「OneNote」、「Playゲーム」、「Playストア」、「Playブックス」、「Podcasts」、「Squid」、「YouTube」、「YT Kids」、「YT Music」。
Google系勢揃いに、Microsoft系、IME、ペン系が加わった感じだろうか。また、ホーム画面左上にある矢印は「エンターテインメントスペース」。映画やビデオ、ゲームなどのコンテンツをユーザー別にパーソナライズして表示する。
設定 > 生産性モードをオンにすると、画面下にタスクバー的なものが表示され、キーボードやマウスを接続した時、使いやすいようになっている(HID接続で自動切り替えも可能)。ただ確認した範囲ではアプリは全画面表示のみでウィンドウ表示にはできなかった。性能がほとんど同じのTab P11 Proはウィンドウ表示可能なので不思議な部分だ(Yoga Tab 13はどうなのだろうか)。
キッズスペースはGoogle製。一時期各社が独自のアプリなどで対応していたが、Googleが出したことにより、これに一本化されそうな雰囲気だ。ただし別途子供用のGoogleアカウントが必要になる。
Snapdragon 730Gと変わらないパワーでバッテリ駆動時間は11時間!
ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5.4.1とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5.4.1はSingle-core 498、Multi-core 1,597、OpenCLは1,969。Google Octane 18,117。
参考までに筆者所有のSnapdragon 730G搭載Tab P11 Proは、Single-core 545、Multi-core 1,799、OpenCLは1,144。Google Octane 17,946(キャプションカッコ内)。コアは気持ち劣るものの、OpenCLとGoogle Octaneは本機の方が少し速い。
MediaTekはあまり速くないというイメージがあるが、少なくともMediaTek Helio G90Tに関してはミドルクラスとて十分なパワーを持っていることがわかる。Tab P11 Proは余暇時にソーシャル系やGoogleフォトで表示/編集などを行なっているが、特に遅いと思ったことはなく、同程度のパフォーマンスが期待できる。用途や個人差もあるだろうが、普通に使うならストレスは感じないはずだ。
バッテリ駆動時間は、明るさ、音量共に50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約11時間でバッテリが切れた。仕様上は約15時間なので4時間ほど短いが、クラス相応と言ったところか。
以上のようにLenovo「Yoga Tab 11」は、11型の筐体にSoC Helio G90T、メモリ 8GB(または4GB)、ストレージ 256GB(または128GB)を搭載したAndroid 11タブレットだ。独特のU字キックスタンドで机の上に自立はもちろん、フックなどに引っ掛けても使用できる。オプションだがペンが使えるのも魅力的だ。
パワーはハイエンドとまでは行かないものの、ミドルクラスで普通のアプリケーションであればストレスなく使用可能。5万円未満で使えるAndroidタブレットを探しているユーザーに試してほしい1台と言えよう。
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