過剰な称賛にあきれてしまったことがある。「市長の市民への心遣いが理解され、身近な存在に映っている」「市長はまさに国際人であり諸外国との関わりも深い」。仙台市議会でかつて本当にあった議員の質問だ▼官僚出身の市長は就任1年あまり。実績はまだ少なかったが、多くの議員が擦り寄り始めた。市議選が数カ月後に迫り、トップとの近さをアピールする狙い。市長も「難しいがほかならぬ議員のご示唆。検討したい」と調子のいいことを言う。共産を除き事実上のオール与党だった▼仙台市長選は各政党が相乗りした現職の郡和子氏が再選された。議会は正真正銘のオール与党となる。使い古された言葉を使うと「車の両輪」の距離が限りなく近づくということ。緊張感を失えば、なれ合いがはびこる▼二元代表制の理想を言えば、市長に求められるのは議会との衝突を恐れず改革を進めること。議会は日ごろ主張している「是々非々」が試される。2年後の市議選が近づいても市当局と混然一体とならずチェック役に徹するべきだ▼冒頭に紹介した礼賛劇にも救いはあった。ある市議が「対案なき市政だ」と批判したのだ。市長の顔色が変わり、答弁に窮したように見えた。その市議はいま重鎮。議会人としての自負は健在と信じたい。(2021・8・3)
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