
■変幻自在なネイマールのダンス
だが「電話パフォーマンス」になると、わけがわからない。ブラジルのスタジアムには、ときおり、ゴール裏に電話が設置されているところがある。おそらく、報道関係者が必要なときに使うため(携帯電話などないころに)のものだったのだろうが、これを得点した選手が使う(ポーズをする)のである。ゴールをしたら電話のところに走っていく。そして受話器を取り、「ママ、見てくれた?」とでも話しているようなストーリーである。これを最初に見たときには、あきれてものが言えなかった。 現代のブラジル代表エース、ネイマールは、さまざまなダンスのパフォーマンスをする。ひとりかふたりで踊っているならまだいいが、5人も6人も寄ってきて合わせて踊られたら、相手は「そんな練習までしてきたのか」と、うんざりするに違いない。もちろん、相手チームのサポーターもである。 得点者だけがやるパフォーマンスは、短時間であればまだ我慢ができるが、「集団パフォーマンス」となるとうんざりする。サンフレッチェ広島の選手たちが一時さまざまなパフォーマンスに凝り、5人も6人も集まって矢を射るポーズをしたり、魚釣りのパフォーマンスをしていたが、相手はどう思っていただろうか。 デズモンド・モリスが18種類を挙げた時代から30年、ゴールパフォーマンスは信じ難いほど多彩になり、その「進化」はとどまるところを知らない。すべてを紹介することなど、とてもではないが不可能だ。あといくつかのパフォーマンスに触れて、この駄文を終わることにする。
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