Thursday, June 24, 2021

便利なネット通販 不十分な説明で商品を誤解したまま購入、返金要求できる? - オトナンサー

「色が違う!」で返金可能?
「色が違う!」で返金可能?

 新型コロナウイルス流行以降、ネットで商品の購入や宅配料理の注文をする機会が増えた人も多いのではないでしょうか。ネットで買い物ができるのは便利ですが、「ホームページの商品画像の色と、実際に届いた商品の色が明らかに違う」「説明書きが不十分だったために、誤解して商品を購入し、後悔した」といったケースもあります。このように、商品に見合わない画像や不十分な説明書きにより、消費者が誤解して購入した場合、販売側に返金を求めることはできるのでしょうか。

 消費生活アドバイザーの池見浩さんに聞きました。

販売側の不備立証が必要

Q.ネット通販の購入トラブルは、どの程度増えているのでしょうか。

池見さん「消費者庁の2021年版『消費者白書』によると、2020年の1年間に全国の消費生活センターで受け付けた相談内容を商品・サービスの購入形態別の割合で分類したところ、2017年と比べて、インターネット通販の割合が約4ポイント増加していました。

また、ネット通販で何を購入してトラブルになったのかを調査したところ、2018年はデジタルコンテンツが全体の約5割を占めていましたが、2020年は商品(健康食品、化粧品など)が全体の約7割を占めるまでに増えました。その多くは、サプリメントなどの意図しない定期購入契約や『代金を支払ったが商品が送られてこない』といったネット通販詐欺です。しかし、中には『粗悪品が届いた』『偽物だった』といった、商品自体に問題がある相談も増えました」

Q.通販サイトの商品画像の色やサイズ感と、実際に届いた商品の色やサイズが明らかに異なるケースもあります。この場合、販売側に返金を求めることはできるのでしょうか。

池見さん「民法や消費者契約法に基づいて、契約の解除や取り消しを主張し、返金を求めることができる場合があります。ただし、主張する側に立証責任があります。民法では、契約した商品やサービスが約束と違っていた場合や欠陥があった場合、契約の目的に合っていない『契約不適合』として、交換や修理・解約するルールがあります。

この場合、基本的には(1)正しい商品と交換する(2)修理が可能なら修理する(3)交換も修理も対応できず、販売側が契約を果たせない場合は契約を解除する――という順番が決められています。契約解除後は商品の返品も必要です。また、契約を判断するのに重大な影響を及ぼすような情報や説明に不備があり、消費者がそれを信じ、誤って契約した場合は錯誤による契約取り消しを主張できる場合もあります。

さらに、契約の意思決定に影響を及ぼす情報や説明について、販売事業者が故意に事実ではない内容を説明したり、消費者に不利益な事実を伝えなかったりした場合、消費者契約法での契約取り消しを主張できることもあります。これらの主張をする場合は、事前に弁護士や消費生活センターなどに相談することをおすすめします」

Q.ある宅配料理サイトが「10貫2000円」のすしを販売する際に「すし30貫」の商品画像を使用し、サイト下段に「10貫2000円」である旨の説明書きを小さい文字で記載していました。もし、「30貫2000円」と誤解して購入した場合、販売側に返金を要求できるのでしょうか。

池見さん「返金を主張できるかは『勘違い』の原因や内容で異なります。例えば、サイト上に『すし2000円キャンペーン』などと強調して30貫の画像のみを掲載し、『ただし10貫のみ』といった説明書きを明らかに分かりにくい場所に記載する、もしくは小さい文字で記載することで打ち消している場合、消費者は錯誤による契約取り消しを主張できる可能性があります。

一方、30貫の商品画像に価格表示はなく、別の場所に『10貫2000円』と小さく説明されていた場合は、表示の分かりにくさによって判断が分かれます。どこにも『30貫2000円』と表示がないのに消費者が『30貫2000円』と単に勝手に思い込んでいたのなら、『返金=契約解除』は恐らく難しいでしょう。

なお、ネット通販の場合、販売側は画面に単価、数量などを明示するルールがあります。最終確認画面の表示、構成自体に問題がある場合、販売側に不備を指摘して交渉することができることもあります。一方で、消費者にも確認する義務があり、確認せずに注文した場合は確認不足の責任を問われることもあり得ます」

Q.消費者に誤解を与える可能性のある商品画像や不十分な説明書きを通販サイトに掲載して商品を販売した場合、どのような処罰を受ける可能性があるのでしょうか。

池見さん「その画像や説明が客観的に、実際の商品より『著しく』よいと誤認させると判断された場合は景品表示法の『優良誤認』として、また、通信販売を規制する特定商取引法での『誇大広告』として、改善措置や業務停止その他の行政処分の対象になる場合があります」

Q.販売側が商品画像を通販サイトに掲載する際、色を補正するのは問題ないのでしょうか。それとも、法律上問題となるのでしょうか。

池見さん「実物以上によりよく見せる加工をした場合は問題になります。しかし、『画像が暗い』など、撮影した商品画像自体が実物とは明らかに違うことで消費者が誤認する可能性がある場合、誤認を防ぐ目的で実物の色合いに補正するのは問題ありません」

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