5月21日、第5世代目となるiPad Proが発売された。
12.9インチと11インチがある中、主に12.9インチの使用レポートがいろいろと出てきており、ミニLEDディスプレイの鮮明さなどが話題になっているようだ。筆者も、iPad Proが発表された日にネット注文し、発売日の5月21日に到着した。大きく重たいiPadには興味がないため、11インチを購入した。
今回は、オーディオ/DTM用途のデバイスとして使用することを前提に、M1プロセッサになって問題なく動作するか、スピード的なメリットはあるか、Thunderbolt 3/USB 4ポートとなった端子に各種オーディオインターフェイスなどは接続できるか、といった観点からレポートしてみたいと思う。
各種オーディオインターフェイスを接続してみた
ここからは、ハードウェアの接続性をテストしていこう。
今回テストしたのは、変換アダプタ不要でケーブルだけで接続可能なオーディオインターフェイスだ。
最初に試したのは、コンパクトで使い勝手のいいIK Multimedia「iRig Stream」。接続してみたところ、何のトラブルもなく、あっけないほどあっさりとつながった。試しにYouTube Liveの配信画面を開き、設定してみたところ、簡単にiRig Streamに入力した音を配信することができた。
次に定番オーディオインターフェイスであるSteinberg「UR22C」を、USB-Cケーブルで接続してみたところ、こちらもトラブルなく動いた。bismark氏のプレーヤーソフト「scylia」を使い、ハイレゾファイル再生も試してみたが、各サンプリングレートでバッチリ動作する。
Focusriteの「Scarlett 2i2」においても、同様に動作。試しにギター入力をオシロスコープアプリで波形を見てみたところ、キレイに表示することができた。M-Audio「Air 192|6」との接続では、iPadの老舗DAWアプリである「Multitrack DAW」を起動させて、96kHz/24bitで再生・録音してみたが、こちらも問題なく動作した。
ここまではいずれも2in/2outのオーディオインターフェイスだが、マルチ入出力のものはどうだろうか?
まずはPreSonusの「Studio 1810c」を試してみた。本機は18in/8outの製品で、「Cubasis 3」を使ってチェックしてみたところ、入力は18、出力も8つあり、正しく動作していることが確認できた。
もう一つ試してみたのが、Antelopeの「Zen Go Synegry Core」。これもCubasis 3で試したところ問題なく動作。本機の入出力は16in/16outである。ちなみに、Studio 1810cはACアダプタを使っての動作、Zen Go Synegry CoreはUSBバスパワーでの動作となる。
では、Thunderboltのオーディオインターフェイスはどうだろう。
iPad Proの'21年モデルは、Thunderbolt 4に対応した端子となっているので、Thunderbolt対応の機器も動作するはず。というわけで、筆者の手元にあったUnversal Audioの「Apollo Solo」(旧名Arrow)を接続してみることにした。まあ、これはThunderboltデバイスであり、ドライバが必要なので動作するとは思えななかったが、どのような反応を示すのか試してみる。
最初にわざとUSBケーブルで接続してみたところ、画面には「Thunderboltアクセサリを使用できません」というアラートが。どうやら、Thunderboltデバイスであることは認識しているようだ。
ではiPad Proとセットで購入したThunderbolt 3のケーブルで接続すれば使えるのか。すると、Apolloからカチカチとリレー音が鳴り、LEDが点灯。これはもしかして使えるのか! と思ったが、反応したのは電源だけで、デバイスとしては認識されず使うことはできなかった。
MIDIキーボードはどうだろうか?
オーディオ出力機能も備えるIK Multimediaの「iRig Key2 mini」を接続したところあっさり動作。MIDIもオーディオも双方使えるようだ。いつものようにbismark氏の「bsー16i」で確認してみると、しっかりMIDIデバイスとして入出力とも認識されていた。
どうやら基本的にハードウェア系はトラブルなく使えるようである。
各種アプリもほぼ動作。重い処理もM1プロセッサでサクサク
では、ソフトウェアはどうだろうか、各プレーヤーアプリ、DAWアプリ、シンセアプリもざっと試してみたところ問題はなさそう。
唯一トラブったのは、ちょうど今無料配布されているMoogのシンセアプリの「Model D」。ちゃんと音は鳴るし、MIDIもオーディオも通るのだが、画面が写真のように乱れてしまうのだ。2018年版のiPad Proでは問題なく使えるので、M1プロセッサになったことによる不具合だろうか。
しっかり試してみたのが、DAWである「Auria Pro」と、バーチャルラックであるIK Multimedia「MixBox」。実は、機材が届いたタイミングに、個人のFacebookアカウントで「何か検証してほしいものはありますか?」と書いたところ、某著名・作編曲家から、この2つを試してほしいという依頼があった。聞いてみたところ、普段からこれらを駆使しているので、新型iPad Proに移行して問題なく使えるのか知りたい、とのこと。
結論から言うと、どちらも問題なくしっかり動作してくれた。
Auria ProはちょっとPro Toolsにも近い感じの超強力DAWで、オーディオもMIDIも使うことができ、さまざまなプラグインのエフェクト、インストゥルメントが使える。またAAFファイルのインポート/エクスポートも可能なので、PC用のDAWともやり取りできることから、プロユースでも使えるわけだ。
オーディオインターフェイスを接続し、再生、録音、エフェクトなどいろいろ試してみたが、いずれも問題なく動作する。ここにプラグインエフェクトをいろいろ挿していくと、従来モデルはちょっと重かった記憶があるが、新モデルはサクサク動いてくれるので、この辺がM1プロセッサの大きな威力ということなのだろう。
続いてプロ好みなプロセッシングアプリ「MixBox」を試してみる。
MixBoxはIK Multimediaがこれまで培ってきた各種ソフトウェア、つまりT-RackS、AmpliTube、SampleTankなど実績ある71種類のプロセッサーを搭載し、8スロットのラックに並べて音作りができるアプリ。
たとえばFairchild 670、LA-2A、PULTEC EQP-1Aといったビンテージ機材をエミュレーションするものから、MarshallのLEADやRolandのJAZZ CHORUSなどのギターアンプ、さらにはフィルター、モジュレーション、リバーブ、サチュレーションなど、数多くのラックを並べて音作りができる便利なツール。
iPadアプリとしては10,000円と高価ではあるが、これだけ充実した内容であれば、かなり割安にも感じる。ちなみに、MixBoxはWindows/Mac版もあるが、iOS版も基本的にほぼ同等の機能を有しており、サンプリングレートも44.1kHzから192kHzまで対応しているので、音質面でもまったく問題はない。
最新バージョンでは、バックグラウンドで動作するので、フロントに別のアプリを立ち上げながらバックで、このMixBoxのエフェクト処理を行なうこともできるので、さまざまな応用が利きそうだ。
からの記事と詳細 ( 新iPad Proは超強力DAW環境!? DTM対応と音質を検証 - AV Watch )
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科学&テクノロジー
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