5月11日の「VIVECON 2021」で公開された「VIVE Pro 2」だが、6月の発売に先立ってHTC NIPPONがプレス向けの体験会を開いた。その模様をお届けする。
基本スペックを底上げした「VIVE Pro 2」
VIVE Pro 2は、HTCのハイエンド向けVRヘッドセットの2世代目にあたるモデルだ。既報の通り、視野角が110度から120度へと広がり、解像度は従来の片目1440×1600ピクセルから2448×2448ピクセルとなり、両目では4896×2448ピクセルと5K画質でVRを楽しめるようになった。リフレッシュレートも90Hzだけでなく120Hzも利用可能にアップしている。
VIVE Pro 2 HMDの基本スペックは以下の通りだ。
ViVE Pro 2 HMD
- スクリーン:デュアルRGB低残光性LCD
- 解像度:片目2448×2448ピクセル(両目4896×2448ピクセル)
- リフレッシュレート:90/120Hz
- 視野角:最高120度
- オーディオ:Hi-Res認証済みヘッドセット(USB-TypeCアナログシグナル)、Hi-Res認証済みヘッドセット(取り外し可能)、高インピーダンスヘッドフォン(USB-TypeCアナログシグナル)
- 入力:内蔵デュアルマイク
- 接続:Bluetooth、周辺装置のためのUSB Type-Cポート
- センサー:G-sensor、ジャイロスコープ、近接センサー、IPDセンサー、SteamVR Tracking V2.0(SteamVR 1.0および2.0ベースステーションと互換)
- 付属品:VIVE Pro 2ヘッドセット、All-in-oneケーブル、リンクボックス、Mini DisplayPort to DisplayPortアダプター、レンズクリーニングクロス、レンズ保護カード、イヤーキャップ、DisplayPortケーブル、USB 3.0ケーブル、仕様ラベル、書類一式(QSG/セーフティガイド/保障証/IPDガイド/VIVEロゴステッカー)
- 発売日:2021年6月末
- 価格:HMDのみ 10万3400円、フルセット 17万8990円(いずれも税込み)
- 購入特典:2カ月間のVIVEPORTインフィニティメンバーシップ
動作条件
- 動作PC最低条件:Core i5-4590あるいはRyzen 1500同等かそれ以上
- グラフィックス:GeForce GTX 1060あるいはRadeon RX 480同等かそれ以上(フル解像度にはGeForce RTX 20シリーズまたはRadeon 5000シリーズもしくはそれより新しいものが必要)
- メモリ:8GB以上
- 映像出力:DisplayPort 1.2以上(フル解像度モードにはDSCを搭載したDisplayPort 1.4以降が必要)
- USBポート:USB 3.0あるいはそれ以上
このようにVIVE Pro 2では視覚体験がよりリッチになったが、解像度を上げたために画像転送量が多くなり、接続するDisplayPortの帯域幅を広げる必要があった。VIVE ProではVersion 1.2(約17Gbps)で足りたところが、Version 1.4の約26Gbpsが必要になる計算だ。だが、5K映像ではこれでも十分ではないため、DisplayPort 1.4で利用できる「Displa Stream Compression」を採用することで、DisplayPort1.2の後方互換を維持しつつ、視覚品質を確保している。
フルに5K/120Hzの映像を楽しみたいなら、推奨ではGeForce RTX 20シリーズとなっているが、GeForce RTX 30シリーズなど、最新の製品であった方がよいだろう。
気になる周辺機器の互換性だが、「Vive Facial Tracker」と「Vive Tracker 3.0」はHTCで動作確認済みだ。トラッキングシステムである「SteamVR Base Station」についても問題なく使える。
プレス向けに行われた体験会では、実際にVIVE Pro 2装着してプレイできた。体験したタイトルは「theBlu: Encounter」だ。初代HTC VIVEでもプレイできたタイトルだが、5Kという画像はその体験を全く変えてしまった。ジャギーを確認できない高精細な映像が目の前に展開するため、本当に水の中にいるかのような感じだった。
筆者は初代の「Vive」を試しただけなので、VIVE Proシリーズは初体験なのだが、随分と軽く、頭にフィットしやすくなっていると感じた。鯨を追いかけて頭を振って視点を変えるのもスムーズだ。ただし、ヘッドフォン部分はもう少し耳に密着した方がよいような気もするが、このあたりも含めてVIVE Proと変わっていないとのことなので、次のバージョン以降の改良に期待したい。
VIVE Pro 2は同社公式通販サイトから予約できるが、発表と同時で深夜にオープンしたところ午前4時には完売となっていたそうだ。新たに機器を取りそろえて2次予約が開始されているので、欲しいと思った時が買いどきでもある。興味があれば、早めに購入することをオススメする。
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ビジネス向けのソリューションも展開
VIVE Pro 2の発表と合わせて、「VIVE Business」についても公開されているが、日本での展開は今後発表される見込みだ。
概要をまとめると、VIVE Businessとは名前の通りビジネス向けのVRソリューションで、「VIVE Businessデバイスマネジメントシステム」、「VIVE Businessトレーニング」、「VIVE Businessストリーミング」、「VIVE Sync」を含んだVRツールのことを指す。
VIVE Businessデバイスマネジメントシステムでは、スタンドアローンとPC接続型のVRヘッドセット両方のデバイスを一括管理。主要なソフトは統合化されており、社内のコンテンツやアプリを簡単に利用できるようにする。
VIVE Buisinessトレーニングは、VRを利用したユーザートレーニングを行う仕組みだ。Androidデバイスを通じて受講生の状況を管理しているので、トレーニングしている際にユーザーに困りごとが起こったら、その画像を手元で見つつ指示を出すことができる。
さらに、最大300台程度までのマネジメントが可能で、各端末の電池やメモリ状況なども管理できるという。VIVE BuisinessトレーニングではVIVE Businessストリーミングにより提供されるが、現在は有線のみの接続であるのに対して、将来的にはワイヤレスでの提供を目指すとしている。
VIVE Syncは、リアルに近いアバターとVR空間内でビジネスについて話したり、プレゼンテーションできたりする仕組みで、現在はβ版として提供されている。仕事で利用しているPowerPointだけでなく、3D形式のコンテンツまで全てVIVE Syncで利用可能だ。最大で30人までがVIVE Syncを使うことができる。
この他、法人専用のコンテンツポータルとして「VIVE Business AppStore」が用意される。企業がVRソリューションを作りたいと思ったときに、信頼できる開発パートナーに簡単にアクセスできるようにするものだ。ワールドワイドでの展開となるため、日本の開発企業にも世界中からのオファーが期待できる。今後の発表が楽しみだ。
「VIVECON Japan 2021」を開催
5月11日に開催された「VIVECON 2021」を受けて、日本でも「VIVECON Japan 2021」が6月11日〜12日の期間で開催される。
11日は法人向けの「VIVEビジネス・デー」、12日は開発者向けの「VIVEデベロッパー・デイ」となっており、先日発表された新製品の情報を公開する他、これからのVR活用方法についての事例などが紹介される。参加には事前登録が必要なので、VIVEビジネス・デー、VIVEデベロッパー・デーのリンクから登録しよう。
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