火星探査車「パーサヴィアランス」がヘリコプターを降ろしている場面のイメージ。
NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」は、重さ1.8kgのヘリコプターを火星に降ろし、平原を飛行する様子を撮影する準備をしている。
8500万ドルをかけて開発された「インジェニュイ(Ingenuity)」と呼ばれるこの飛行物体は、他の惑星を探査するための新しいアプローチをもたらすかもしれない存在だ。今はまだ技術的なデモンストレーションに過ぎませんが、このドローンはこの春に、技術的なデモンストレーションとして最大5回のテスト飛行を行う予定だ。そして機体の下面に設置された2台のカメラで火星表面を上空から撮影する。
NASAは3月17日、ヘリコプターを担当するチームが飛行場所を決定したことを発表した。最初の離陸は、早ければ4月第1週に行われる予定で、詳細については、3月23日の記者会見で明らかにされる。
成功すれば、インジェニュイティはすばらしい映像を見せてくれることだろう。パーサヴィアランスもカメラでその飛行を追跡する予定だ。
これが成功すれば、将来、木星や土星の衛星をヘリコプターで探査するミッションにもよい影響を与えるだろう。
しかし、これまで火星でヘリコプターを飛行させた例はないので、未知の要因によってこの試みが頓挫する可能性もある。
1月には、NASAの火星探査機「インサイト(Insight)」のミッションでは、「Mole(モグラ)」と呼ばれる機材を火星の地面に打ち込む予定だったが、予想外に厚い土壌に阻まれ、ミッションを完了することができなかった。
NASAジェット推進研究所のパーサヴィアランス・副プロジェクトマネジャー、マット・ウォレス(Matt Wallace)は、探査車の着陸に先立つブリーフィングで、「インジェニュイティは、ハイリスク・ハイリターンの試みだ」と述べた。
「問題が発生する可能性は常にある。しかし、だからこそ我々はそれを行うのだ。問題が発生すれば、そこから学ぶことができる」
火星の薄い大気でも飛ぶ
2月に火星の古代の湖底に着陸した後、パーサヴィアランスはシステムのチェックとツールのテストを行った。 今はその任務の新しい段階に入っている。ヘリコプターだ。
火星との通信には数分かかるため、地上の管制官がリアルタイムでインジェニュイティの飛行を制御することはできない。そこでエンジニアは、火星の30日(地球の約1カ月)の間に、最大5回の自律飛行を行うようにプログラムした。
火星の薄い大気中で飛行するために、炭素繊維でできた4枚のブレードは、地球上のヘリコプターの約8倍にあたる1分間に約2400回転しなければならない。ヘリの上部に設置された太陽電池パネルが、この回転の動力を生み出す。
インジェニュイティの初飛行では、地上から数メートル上昇し、約30秒間ホバリングしてから着陸テストを行う。その後、最終的には火星の地面から300メートルの高さまでヘリコプターを上昇させる予定だ。
ただし、短い飛行でも大きな成果が得られるだろう。
ヘリコプターチームのプロジェクトマネージャー、ミミ・アウン(MiMi Aung)は、探査車着陸前の会見で「まさにライト兄弟だ。ただし、別の惑星でのことだが」と語った。
「これからの一歩一歩がすべて、史上初のことになる」
インジェニュイティが飛行を終えた後、パーサヴィアランスはかつての川の三角州を走行し、太古の微生物の痕跡を探すというメインミッションを開始する。
[原文:NASA's Perseverance rover is preparing to drop a helicopter from its belly and watch it fly on Mars]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)
からの記事と詳細 ( 初の宇宙ヘリコプター、2021年4月に火星の空を飛行予定…NASAの探査車「パーサヴィアランス」に搭載 - Business Insider Japan )
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