
日銀が地方銀行の再編を後押しする新制度を創設する。低金利で経営が苦しい地銀の救済が目的で、政府と歩調を合わせた取り組みだ。地銀支援は喫緊の課題だが、預金者への丁寧な説明も必要だ。
新制度は日銀に当座預金の口座を持つ地銀や信用金庫に対し、年0・1%の上乗せ金利を出す。経営統合に踏み切るか、日銀が定めた収益力強化策の基準をクリアすれば支援が受けられる。金利付与の形を取った事実上の補助金といえる。
日銀は十年後に地銀の約六割が純損益ベースで赤字に転落すると予測している。長い大規模金融緩和で金利が下がり利ざやが稼げなくなったのが主な原因だ。このため金利を逆に上乗せする今回の制度は、日銀が金融政策を部分修正したと分析することも可能だ。
地銀をめぐっては、菅義偉首相が自民党総裁選中に「将来的には数が多すぎる」と発言。政府は現在、地銀が経営統合する場合、費用の一部を補助する仕組みを検討中だ。新制度は菅首相の意向を受けた政府と日銀による「合作」とみていいだろう。
金利上乗せは二〇二二年度までの時限措置だ。この間、金利付与を希望する地銀などは統合を模索するか経営効率化に努めることになる。ただ統合や効率化に伴い、地域企業への貸し渋りが起きる恐れがある。人件費や人員の無理な削減、採用抑制も懸念される。
地銀は地域における雇用の担い手だ。企業にとっては真っ先に頼るべき資金の貸し手である。金利付与のために過剰なリストラに踏み切らないよう地域金融の経営者には強くくぎを刺しておきたい。
金融緩和政策は預金者に対し、金利収入を得にくい生活を余儀なくさせている。とりわけ年金に頼る人々の暮らしにとって大きな打撃になっている。
景気はこの冬、一層冷え込む可能性があり金融を引き締める局面は当面こないはずだ。地銀は今後も大きく利ざやを稼ぐことは困難だ。地銀が次々苦境に陥れば地域経済への影響は大きく、国内全体の金融システムへの信用も揺らぐ。
ただコロナ禍では多くの業態が苦境に陥っている。地銀を手厚く支援する理由について、日銀の黒田東彦総裁は国民に向けて丁寧に説明するべきだ。
同時に新制度が金融機関の救済だけでなく、地域経済の再生につながるよう厳しく監視・指導すべきである。
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