熱と不要物が体に溜まっているサイン。
頬や鼻のまわりにぽつりとできたにきび。目立つし、ときには痛みもあったりして、気になるものですよね。にきびの多くは、脾(ひ)、つまり消化・吸収機能の状態が大きく関係しています。
脾は食べたものの栄養素を分別していい成分を吸収し、「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という人間を構成する3つの要素に変え、その他のいらないものを排出する働きを担っています。この排出器官のひとつが、肌。通常であれば肌から出ていくのは汗や気の一部だけですが、体内の不要物が過剰になると肌からも排出してしまう。これがにきびです。にきびは「吹き出物」とも呼ばれますが、まさにいらないものが「吹き出て」いる状態なのです。
不要物の中身は主に「痰湿(たんしつ)」から生まれた「痰濁(たんだく)」です。これまでも何度かお話ししてきましたが、痰湿とは、脂っこいものや甘いもの、味の濃いもの、お酒などの摂りすぎによって生じる、どろどろとした副産物。この痰湿がさらに汚れ、痰湿と同時に生み出される「湿熱(しつねつ)」によって凝縮して、膿のような状態になったものが痰濁です。多くは黄色っぽいにきびとなって現れますが、湿度を持たない熱が原因の場合は、赤く腫れることもあります。
葉物野菜が不足気味? 温かい料理でたっぷりと。
いずれにしても、にきびは体内の過剰な不要物と熱によってもたらされます。まずは、先ほども挙げましたが、脂っこいものや甘いものなど、「肥甘厚味(ひかんこうみ)」と呼ばれる食べ物を摂りすぎていないか見直してみましょう。
その上で日々の食事に増やしたいのが、いらないものを排出する作用の強い葉物野菜。白菜やほうれん草、小松菜、青梗菜などをたっぷり食べましょう。痰湿を取り去り、さらに熱を冷ます効果のある海藻類もおすすめです。このとき大切なのが、いずれも火を通して、薄味の料理にすること。生ものや濃い味付けのものは、かえって脾の働きを妨げてしまいます。せっかく良いものを食べているのに、脾の排出力を弱めてはもったいないですよね。
にきびに限らず、脾の働きと食べたものは、体の多くの不調に関係しています。養生はそこをコントロールすることがほぼすべてと言ってもいいでしょう。体に必要な食べ物を選ぶ心がけで、脾も、全身の状態もおのずと整っていきます。いつもそのことを、心に留めておいてほしいと思います。
さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/
※『anan』2020年9月16日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子
(by anan編集部)
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「にきび」を治すには“葉物野菜” 体内の過剰な不要物と熱を取り除こう - ananweb
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