2023年9月1日(金)、ウェス・アンダーソン最新作『アステロイド・シティ』公開。これまでに10本の長編映画を世に送り出してきたウェス・アンダーソン監督。どれもこれも愛らしい魅力がいっぱい! ウェス作らしい部分ともに振り返ります。(文・斉藤博昭/デジタル編集・スクリーン編集)
カバー画像:『グランド・ブダペスト・ホテル』© 2023 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
“らしさ”は随所に! 長編監督デビュー作
『アンソニーのハッピー・モーテル』(1996)
ウェス・アンダーソンの記念すべき長編デビュー作で、大学で出会ったオーウェン・ウィルソンと共同で脚本を執筆。13分の短編映画を長編にリメイクした。
精神の療養施設を出たばかりのアンソニーが、強盗計画に加わるクライムコメディ。演出は荒削りながら、現在に至るウェスの嗜好のあちこちで発見できる。
アンソニー役はオーウェンの兄、ルーク・ウィルソンで、オーウェンも相棒役で出演。2人とってもこれが実質的な俳優デビュー作に。
音楽センス炸裂! あの常連の初参加作
『天才マックスの世界』(1998)
天才なのに落第を繰り返す15歳のマックスが、美しい教師に夢中になり、猛烈なアタックを始めたことで、とんでもないドラマへと発展する。
マックス役のジェイソン・シュワルツマン、恋敵となる鉄鋼会社社長役のビル・マーレイと、その後のウェス作品の常連キャストが今作で初参加。
ローリング・ストーンズ、ザ・フーなどウェスが大好きな1960〜70年代のロック、しかもレアな名曲も使い、登場人物の思いを表現。彼の音楽センスを知らしめた。
衣装や小道具への過剰なこだわり!
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)
これまで一緒に脚本を書いてきたオーウェン・ウィルソンとともに本作でアカデミー賞脚本賞にノミネート。日本ではこれが初の劇場公開作となり、ここからウェスの才能の虜になった人は多い。
ビジネスマン、作家、テニス選手として成功したテネンバウム家の子供たちが、問題を抱えた大人になって病床の父の元に集まる。長男一家がお揃いのアディダス赤ジャージを着ているなど、衣装や小道具などへのウェスの過剰なこだわり、その原点を楽しめる。
ウェス自身を主人公に投影?
『ライフ・アクアティック』(2004)
海の探検家でドキュメンタリー監督のスティーヴが、新作のために航海に出る。物語以上にポップなセンスを重視し、その後のウェス作品の方向性が顕著に表れた一作。子供の頃、海洋学者に憧れ映画監督になったウェスなので、主人公は彼の分身?
前3作ではオーウェン・ウィルソンだった共同脚本が、本作でノア・バームバックにバトンタッチ。ストップモーション・アニメによる海洋生物は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)のヘンリー・セリックが担当。
インドで再度描くきょうだいの物語
『ダージリン急行』(2007)
父の死後、その遺産を使ってインド北西部を列車で旅する3兄弟。その設定は2作前の『ザ・ロイヤル〜』にも通じる。
三男を演じたジェイソン・シュワルツマンは脚本にも参加。前作『ライフ〜』のイタリアに続き、今回はインドで大がかりな撮影を敢行。インドの伝説的スター、イルファン・カーンも出演した。
3兄弟が持ち運ぶ大量のバッグやスーツケースは、マーク・ジェイコブスが本作のためにデザインしたルイ・ヴィトン製。動物やヤシの木が描かれていてキュート!
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