Thursday, February 16, 2023

日銀の気候変動対応、変化する可能性も-植田氏は過去に懐疑的な ... - ブルームバーグ

日本銀行の次期総裁に指名された経済学者の植田和男氏は、過去に中央銀行による気候変動対応への関与に懐疑的な見解を示している。社債市場では金融機関の気候変動対応の投融資を支援する「気候変動オペ」を巡る姿勢が、新体制下で変化する可能性を指摘する声も一部で出ている。

  大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは、中銀が気候変動問題に金融政策で対処することに関して植田氏が否定的な立場を示している点を挙げ、「日銀が深く関与していくことにはブレーキがかかる可能性が高い」と指摘する。

Key Speakers At Institute of International Finance Meeting

植田和男氏

Source: Bloomberg

  植田氏は2021年12月22日付の日本経済新聞への寄稿で気候変動問題について、考えられる政策は二酸化炭素(CO2)排出に対して炭素税や排出枠取引で価格を付けることだと説明。グリーン化に向けた供給網構築のための投資や資金調達で公的支援が必要かもしれないと指摘している。

  その上で、「こうした問題への対応は中銀よりも、財政当局との距離感が近い公的金融機関の役割と考えられる。そもそも中銀はわずかな自己資本しかもたず、追加の財政措置なしに十分な役割を果たせそうにない」との考えを示した。

  日銀は21年6月の金融政策決定会合で、気候変動対応を支援するための資金供給オペ導入方針を提示。翌月、黒田東彦総裁は気候変動問題にとってまず重要と考えられる施策を開始した上で「変更が必要であればその時に修正していく姿勢で臨むことが肝要ではないか」と述べた。

  日銀は21年12月に気候変動オペを開始。ことし1月までに計3回実施しており、貸付残高は累計で4兆円を超えている。

  大和証券の大橋氏は、植田氏が炭素税など財政政策対応が不十分な間は気候変動オペなど中銀による金融面からの一定の後押しを正当化していることから、「政策の急反転」は見込んでいない。ただ、オペの金額などが拡大してきた流れは「加速することはなくなる可能性がある」と言う。

同じ中銀でも国によって温度差

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は1月にストックホルムで開かれたフォーラムで、FRBが気候問題の監督当局にはならないと 明言。一方、欧州中央銀行(ECB)は環境汚染の少ない発行体の社債をポートフォリオ組み込みで重視するなど、海外中銀の気候変動への対応は割れている。

  みずほ証券の香月康伸SDGsプライマリーアナリストは「同じ中銀でも国によって温度差がある」とし、日銀も中銀として気候変動リスクが金融システムに与える影響は注視しているが、「金融政策においてはECBほど積極的にコミットしている状況ではない」と指摘している。

関連記事

【ESGウイークリー】を購読するには該当記事の冒頭にあるボタンを押して登録するか、NSUB ESG JAPANの該当する購読ボタンをクリックしてください。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 日銀の気候変動対応、変化する可能性も-植田氏は過去に懐疑的な ... - ブルームバーグ )
https://ift.tt/xK5g4sn
Share:

0 Comments:

Post a Comment