
朝晩が冷える日が多くなり、風邪をひきやすい時季となりました。風邪の予防には「睡眠」「水分補給」が大切とされていますが、もう一つ、「ビタミンC」を摂取することが効果的だと昔からよく聞きます。確かに、ネット上でも「風邪の予防にビタミンC」という投稿は多いですが、「ビタミンCは風邪の予防とは関係ない」という正反対の意見もあります。 「風邪の予防にビタミンCは関係ない」というのは本当でしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
米化学者の説が影響か
Q.ビタミンCを摂取することで、体にどのような効果があるのでしょうか。 市原さん「ビタミンCを摂取すると、体内でコラーゲンが生成されます。『美容にビタミンCがよい』とされるのはそのためです。メラニンの生成を抑制し、肌にとって欠かせないビタミンとされています。また、コラーゲンは肌だけではなく、骨や血管の周りなどさまざまな場所に存在し、体にとって重要な役割を果たしています。鉄の吸収促進作用や抗酸化作用もあります」 Q.一般的に「風邪の予防にはビタミンC」と考える人も多いですが、「ビタミンCは関係ない」という意見もあります。「関係ない」という意見は本当でしょうか。 市原さん「本当です。『風邪の予防にはビタミンC』と考える人も多いようですが、関係はないとみられています。確かに、ビタミンCと風邪との関係性を調べた研究は数多くあります。しかし、『風邪に効果がある』とはっきりと証明できる結果は導き出されていません。将来的に関係性を証明する研究結果が発表されるかもしれませんが、現在のところ、医学的に『ビタミンCと風邪の予防に関係がある』とは言えないのです」 Q.ではなぜ、「風邪の予防にはビタミンC」との認識が広まったのでしょうか。 市原さん「はっきりした理由は分かりませんが、ノーベル化学賞と平和賞を受賞したアメリカの化学者ライナス・ポーリング氏が『ビタミンCが風邪を含めて、さまざまな病気に有効である』という主張をしていたためだと考えられています。世界的に権威のあるノーベル賞を2回も受賞した人が主張したことで、関係性があるとの認識が広がったのではないでしょうか」 Q.現在のところ、ビタミンCと風邪の予防の関係性は証明できないとのことですが、「風邪の症状の緩和に効果がある」という意見もあります。症状の緩和には効果があるのでしょうか。 市原さん「風邪の症状の緩和にも効果はないとみられています。こちらも予防と同じく、医学的に証明できるような研究結果が現在のところ、明らかになっていないためです」 Q.「風邪の予防にはビタミンDがよい」という意見もあります。ビタミンDを摂取すると、体にどのような効果があるのでしょうか。また、風邪の予防になるのでしょうか。 市原さん「魚介類やキノコ類などに含まれるビタミンDを摂取すると、風邪やインフルエンザにかかりにくくなるという研究が多く報告されています。なぜなら、ビタミンDには、免疫力を向上させる働きがあるからです。そのため、ビタミンDを摂取すると風邪の予防になるというのは本当です」 Q.ある栄養素が風邪によいと聞くと、意識的にそれらを過剰に摂取してしまう人もいます。ビタミンCを過剰に摂取すると、体に悪影響はありますか。ビタミンDはどうでしょうか。 市原さん「ビタミンCは水溶性ビタミンなので、たとえ過剰に摂取しても尿から排出されるため、体に悪影響が出ることは通常ありません。一方、ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、過剰に摂取すると、過剰な分が体外に排せつされません。場合によっては高カルシウム血症となり、倦怠(けんたい)感や吐き気、嘔吐(おうと)、多飲・多尿、筋力低下、腎障害などさまざまな症状が起こる可能性があります」
オトナンサー編集部
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