Monday, October 18, 2021

狩猟で使う「鉛」銃弾、相次ぐ鳥類の中毒死…獣医師「知識不十分なハンターも多数」 - 読売新聞

 狩猟に使われる鉛の銃弾で鳥類の中毒死が相次いでいるとして、環境省は全国調査に乗り出す方針を固めた。既に鉛弾が規制されている北海道を除いて本州以南で実施し、2025年度から段階的に鉛弾の使用を規制する。

 ワシやタカなどの 猛禽もうきん 類や水鳥は鉛を取り込むと、中毒を発症することがある。野生動物保護団体「猛禽類医学研究所」(北海道釧路市)によると、特に北海道で1990年代以降、鉛中毒が相次ぎ、同研究所は200羽以上の鉛中毒死を確認した。鉛弾を撃ち込まれて逃げたエゾシカがやがて死に、その死体を猛禽類が食べて鉛を取り込むケースが多いという。

 北海道も98年度に猛禽類の鉛中毒死を26件確認し、2000年度以降、鳥獣保護法や条例で段階的に鉛弾を規制してきた。現在は所持・使用を原則禁止しており、害獣駆除の際には銅などの弾が使われている。

 環境省によると、本州以南の鉛中毒死はイヌワシ、オオタカ、クマタカの計4件にとどまるが、「氷山の一角」の可能性がある。獣医師で同研究所の斉藤慶輔代表(56)は「鉛中毒に関する知識が不十分なハンターも多い。全国的な規制が野鳥の鉛中毒の根絶につながる」と話す。銅弾は鉛弾よりも高価なため、道内では今も鉛弾を使用するハンターがいるという。

 環境省は本州以南の実態を調査し、規制する地域や弾の種類などを検討する方針。30年度までの鉛中毒ゼロを目指している。

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