
東京都で感染拡大が続いているため政府は、11日が期限のまん延防止等重点措置を12日から緊急事態宣言に切り替える。また、埼玉、千葉、神奈川の3県と大阪府は重点措置を、沖縄県は同宣言をそれぞれ延長する。期限はいずれも8月22日までとした。
収束の見通しを巡り菅義偉首相は8日の記者会見で、ワクチンの1回接種が人口の約4割に達した頃から外国では感染者が減少傾向になっているとし、日本でも7月中にそれを目指すと表明。解除の前倒しの可能性にも言及した。
しかし、東京都では3回目の宣言の解除から3週間での再発令となる。こうした、これまでの経緯を踏まえれば楽観論は禁物である。先手先手で対策をとり、それが効果を上げるよう国民から協力を得られる環境を整えるべきだ。
理由の一つは、インド由来の変異株「デルタ株」の存在だ。感染力が強く、比較的若い中高年でも重症化のリスクがあるとされる。東京都では、8月末にはほぼ置き換わるとの見方もある。宣言の期間は、4連休や東京五輪、夏休み、お盆など人の移動が活発になる時期に合わせた。ここで対策が徹底されず、デルタ株が地方に広がることが最悪のシナリオだ。多くの国民の命が危険にさらされ、経済への影響も一層大きくなる。
影響が長期化しており、感染対策の徹底のためには、飲食店などへの休業や時短営業の要請とセットで、事業継続に必要な補償の実施が重要だ。協力金を継続する場合も水準が十分か検証が必要だ。生活困窮者への給付金の再支給など生活支援も拡充すべきだ。日本農業新聞の農政モニター調査ではコロナ禍が農業経営に影響している農家は3月時点で52%。経営状況を検証し、必要な支援を求める。
東京五輪は首都圏1都3県は無観客と決まったが、大会関係者は入場可能とした。国民が不公平感を抱かないようにすべきだ。ワクチンは供給が追い付かず、混乱が生じている。安定供給が重要だ。
政府対策分科会の尾身茂会長は8日の記者会見で「(宣言は)最後ということに期待する」と述べた。それには全国的にも感染が続いていることを認識し、地域の情勢に応じた対策に取り組む必要がある。コロナへの「慣れ」や「あきらめ」を払拭(ふっしょく)できるよう、科学的根拠に基づき収束の見通しを政府も明確に示すべきだ。
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