Sunday, April 11, 2021

地球には宇宙から来た巨大な岩塊が埋まっている…ジャイアント・インパクトの証拠となるか - Business Insider Japan

地球と原始惑星の衝突のイメージ図。

地球と原始惑星「テイア」の衝突のイメージ図。

NASA/JPL-Caltech/Wikimedia Commons

  • 地球の奥深くには、厚さ1000km相当の巨大な岩塊が2つ存在する。
  • これらの岩塊は、45億年前に地球に衝突した原始惑星の残骸であるという新しい研究結果が発表された。
  • テイアと呼ばれる原始惑星と地球の衝突が、月の誕生につながったのかもしれない。

地球の奥深くを覗き込むことができれば、2つの巨大な岩石の塊が地球のコアを手のように包んでいるのが見えるだろう。

1つは太平洋の下、もう1つはアフリカの下にある大陸サイズの謎の地層の起源は、40年間、地質学者を悩ませてきた。専門家の中には、この巨大な岩石は、地殻プレートの破片が閉じ込められたものだと指摘する人もいる。

しかし、新しい研究によると、その起源は地球の外にあるかもしれない。

アリゾナ州立大学(ASU)の科学者グループは、この塊が45億年前に地球に衝突した「テイア」という名の「火星サイズの原始惑星」の残骸であると考えている。この衝突は、地球の表面を燃えるようなマグマの海に変え、月を作るのに十分な量の破片を射出させたと考えられている。

今回の研究のリーダー、チエン・ユアン(Qian Yuan)は、ASUで地球力学を研究している。彼は、古代の衝突の後、テイアの一部が地球のマントル(地球の地殻と核の間にある半固体の層)の奥深くに沈み、保存されたのではないかと考えている。それらの破片は、「エベレスト山の数百万倍の大きさがある」とユアンはInsiderに語った。

1000kmにおよぶ高密度領域

地質学者は、地震波を地中に送ることで、これらの塊(専門的には「大規模S波速度低速度領域(large low-shear-velocity provinces:LLSVP)」と呼ばれる)を発見した。アフリカと太平洋の下では、地震波の速度が遅くなることから、周囲よりも密度の高い岩石の領域があることがわかった。2016年の分析結果に基づく下のアニメーションは、これらの領域の大きさを示している。

フアンによると、これらの塊は他のマントルよりも1.5%から3.5%密度が高く、温度も高いという。

フアンのモデルによると、もしテイアが鉄分を豊富に含み、密度が高かったとすれば、地球に衝突した際に割れた破片はマントルの奥深くに沈み込むという。だとすれば、マントルの中には存在しなかったはずだ。また、より密度の高い地殻の塊がマントルに沈み、長い時間をかけて成長した可能性もあるとフアンは述べている。

地球内部のイメージ。明るい赤色がマントルだ。

地球内部のイメージ。明るい赤色がマントルだ。

Shutterstock

この塊が何でできているのかを解明することは困難だ。その最も深い部分は、我々の足の下3000km、マントルの中でも地球の外核に最も近い部分にある。その厚さは1000kmで、幅は高さの2、3倍だ。

しかし、科学者たちは、アイスランドやサモアの火山から噴出した岩石やマグマが、この塊から来ていることを突き止めた。このマグマを構成する物質を分析することで、謎の塊の組成についての洞察を得ることができる。2019年の研究によると、火山の噴出物に含まれるいくつかの元素は、テイアが地球に衝突したとされる約45億年前にさかのぼるという。

衝突時に何があったか

1973年にNASAのマリナー10号が撮影した月。

1973年にNASAのマリナー10号が撮影した月。

NASA/JPL/Northwestern University

小さな惑星と地球の衝突によって月が形成されたという考えは45年以上前からある。しかし、この仮説の問題点は、科学者たちがテイアの存在を示す証拠を見つけられていないことだ。

2016年の研究では、それは地球とテイアのコアが融合したからだと指摘されている。また、2018年に提唱された別の考え方では、惑星が衝突したときに両方とも「ほとんど完全に蒸発してしまった」とフアンは推測している。それによると、地球は「シネスティア」と呼ばれる溶融したり気化したりした岩石が高速で回転するドーナツ状の塊になり、その後、溶融した惑星に戻ったと考えられている。その回転する塊の一部が月になり、テイアは消滅したというのだ。

3つ目の説は、ユアンによると「ヒットエンドラン」と呼ばれるもので、テイアが地球をかすめ、一方の惑星の破片、あるいは両方の破片が結合して月になったというものだ。しかし、月の組成は地球の組成とほぼ一致しており、テイアの成分はほとんど含まれていないと考えられている。

今回の発見は、数十億年前に太陽系内にテイアが存在していたことの証明になるかもしれない。論文は近日中にGeophysical Research Letters誌に掲載される予定だ。

[原文:Earth contains buried chunks of an alien world that are 'millions of times larger than Mount Everest,' research suggests

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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