
内閣府経済分析担当は、発災から間もない3月23日に物的ストック(インフラ・住宅・民間企業設備など)の毀損額でみた震災被害額が16兆円、最悪では25兆円という推計を発表した。4月1日には被害範囲が東日本全体に及んだかのような印象を与えた「東日本大震災」という名称が閣議決定された。復興政策の根幹を決めていく復興構想会議の第1回会合が4月14日に開かれた。五百旗頭真議長(当時)は、その冒頭、「16年前の悲惨(阪神・淡路大震災を指す)が可愛く思えるほど」と発言し、東日本大震災のすさまじさを強調した。内閣府防災担当は、6月24日に被害額総計が16兆9000億円に及ぶと公表した。阪神・淡路大震災においては当初5年間の復興予算規模9兆5000億円がストック被害額にほぼ等しかったが、政府は、7月29日に5年間19兆円という、被害推定額をも超える巨額な復興予算を決定した。 しかし、復興予算の策定根拠とされた2つの被害額想定がきわめて過大であったことは、同時進行形で得られたデータを丹念に読んでいけば確認できた。消防庁は、発災直後から毎日、最初は1日に何回も被害報を発表していたが、建物被害は被災3県(岩手、宮城、福島)の沿岸市町村に集中し、内陸では限定的であったことは明らかであった。同様に、国土地理院は、4月18日に津波浸水範囲を電子地図で公開した。総務省統計局は、その電子地図と05年国勢調査の電子地理情報を重ね合わせて被災人口を推計し、4月25日に発表した。 こうした情報を積み重ねていけば、震災被害の範囲が限定的であったことは明白だった。しかし、被害規模を超える膨大な復興予算が投じられたことから、被災人口一人当たりの予算額は、東日本大震災が、阪神・淡路大震災の約5倍にも達した。
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