
人間ドックや健康診断の受診者を診ていると、腹部超音波検査で「脂肪肝」と判定されている人がかなりいることには驚きます。しかも、昨年からのコロナ禍で脂肪肝を有する人は増えています。
◇脂肪肝とは
肝臓は、アルコールをはじめ血液中のさまざまな有害物質を分解したり、たんぱく質や糖質を体内で利用しやすい形にしたりする重要な役割を担っています。さらに肝臓は、血液中で過剰な脂質を内臓脂肪や皮下脂肪にして蓄える前に、一時的に脂肪を蓄えておく貯蔵庫でもあります。 医療現場での保健指導などでは、脂肪の貯蔵をお金の蓄えに例えて説明することがあります。誰が言い出したことかは分かりませんが、「血液中の脂肪はお金に例えると、お財布の中のお金のようなもの。すぐに使いやすい状態になっています。腸の周囲などにたまる内臓脂肪は普通預金のようなもので、食べ過ぎや運動不足でエネルギーが余ると内臓脂肪にしてためられるし、必要な時には簡単に取り出して使えます。皮下脂肪は定期預金のようなもので、一度ためるとそれを利用したくても引き出す時にひと手間かかります。つまり皮下脂肪は、少しのダイエットではなかなか減りにくいのです」と脂肪について説明します。 その説明に追加をすると、肝臓に蓄えた余分な脂肪は、お金ならたんす預金のようなものです。一時的にためるだけで、すぐに使う日が来るはずと体は思うのでしょうが…。肝臓の余分な脂肪がすぐに使われないと、脂肪肝となり、それによって起こる肝臓の病気になります。 たんす預金はしばらく置いておいても困りませんが、脂肪肝は何年もの間に解消されないと、一部の患者さんは肝硬変になってしまいます。さらに、その肝硬変になった患者さんのさらにごく一部は、肝臓がんになります。ですから、脂肪肝は肝臓がんのきっかけにもなる、放置しては危ない状態なのです。
◇飲酒習慣ないのになる人も
肝臓の病気と言うと、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、つまり「ウイルス感染による病気」、もしくはアルコール性肝機能障害、つまり「飲み過ぎで肝臓が悪くなった」というイメージがあります。しかし、最近では肝炎ウイルスによるものではなく、さらにアルコールを多飲しているわけでもないのに脂肪肝で肝機能障害を呈する人が目立ちます。特にコロナ禍で生活習慣に変化があり、新たに脂肪肝になった受診者が気になります。 診察室で新たに脂肪肝になった受診者の話を聞くと、「リモートワークで、通勤で歩くことが無くなった」「スポーツジムが時短営業で通えなかった」「サッカーなどチームスポーツができなかった」など、運動不足が原因と思われる人が多く、さらに体重も増加している人が大半です。 ステイホーム中は、「家飲みで飲酒することが増えた」という人も案外多く、飲酒しない人でも、「リモートワークで仕事の合間にお菓子を食べている」「食事はウーバー(イーツ)を利用することも多く、余分にオーダーしがち」「食料品を通販で買うようになったら、つい買い過ぎて、結果として食べ過ぎる」という意見をよく聞きました。食生活にも問題があることを自覚している人もいるのです。 理由は、その人にもよりますが、摂取エネルギーが消費するエネルギーを上回るため、残ったエネルギーは体内で貯蔵されるのです。その貯蔵場所の一つが肝臓で、脂肪肝を引き起こすというわけです。 肝臓の他にも内臓脂肪や皮下脂肪も増加している場合が多く、脂肪肝になる人は体重が増加したり、腹囲が増大したりしている人が多いのです。しかし、脂肪肝そのものは自覚症状がほとんどありません。そのため、軽視されがちなのです。
からの記事と詳細 ( 脂肪肝になっていませんか? ~コロナ禍で増加傾向、今すぐ生活を見直そう~(時事通信) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/3FweDU0
0 Comments:
Post a Comment