
(柳原 三佳・ノンフィクション作家) 「24秒に1人・・・」 この数字がいったい何を意味しているか、ご存じでしょうか。 実はこれ、地球上で「交通事故」によって亡くなっている人の数です。 想像してみてください、今もどこかで、誰かが、交通事故に遭い、24秒に1人、突然、命を落としているということです。 ■ 日本では戦後から現在まで95万人超の人が犠牲に もちろん、交通事故の被害は「死亡」だけではありません。負傷者も含めれば1秒間に何人が被害に遭っていることでしょう。そして、「一命をとりとめた」という報道の裏側には、元の生活には戻れないような、深刻な後遺障害を負っている人も多く、一瞬の事故が多くの被害者とその家族の人生を狂わせているのです。 ちなみに、WHO(世界保健機関)が2018年12月に発表した報告書によると、世界では、交通事故で死亡した人が年間135万人にも上っているとのこと。負傷者数については正確なデータはありませんが、毎年2000万人から5000万人にのぼるのではないかと推計されています。 この、あまりに大きな被害の実態に、WHOのテドロス事務局長は、「この犠牲は、交通の代価として容認できない」と声明で指摘したほどです。 また、日本だけで見ると、戦後(1946~2019年)、95万人超の交通事故死者を生み、負傷者数は4678万人にのぼっています(『犯罪白書』より)。 周りを見渡せば、おそらくあなた自身やその家族、友人などに交通事故の経験をした人が誰かしらいるのではないでしょうか。そして、この先の人生においても、「自分だけは絶対に交通事故には遭わない」と言い切れる人は誰もいないのです。
■ 11月第3日曜は『世界道路交通被害者の日』 こうした状況を重く見た国際連合は、世界的な道路安全の向上をめざすべく、2005年10月の総会において、「国際社会は毎年11月の第3日曜日を、世界道路交通被害者の日(World Day of Remembrance for Road Traffic Victims)として認識するよう要請する」との決議を行いました。 そして、世界各国で同じ日に、「世界道路交通被害者の日(World Day)」として交通事故による死傷者を想い、被害ゼロのための行動を決意する日として、さまざまな取り組みが行われるようになったのです。 実は、「World Day」のそもそもの発端は、家族を交通事件で失ったイギリスの母親らが中心となって1993年に立ち上げた「ロードピース」というNGOでした。その活動はヨーロッパを中心に支持を広げ、「国際道路交通安全協会」、「欧州道路交通被害者連盟」など、複数のNGOによって、世界各地で開催されるようになりました。 そして、2003年9月、WHOが各組織を集めて懇談会を主催したことをきっかけに、交通安全を呼びかける機関の非公式なネットワークが誕生し、上記のとおり、2005年の国連総会の議決へとつながっていったのです。 こうした経緯を見ていくと、やはり、交通事故で大切な家族を亡くした遺族の思いの強さと、事故撲滅への信念を痛感します。 国連は2005年の決議で、「交通事故被害軽減のための重点的な取り組み課題」として、 ●シートベルトやチャイルドシートの着用 ●ヘルメットの着用 ●飲酒運転の防止 ●過剰な速度違反の防止 ●道路インフラの整備 等の項目を挙げ、発展途上国については資金や技術面での国際支援を行うことも表明しています。 あれから16年が経過した今、シートベルトやチャイルドシートの着用はかなり普及し、多くの人の命を守ってきました。しかし、日本では未だに、「飲酒運転」や「過剰な速度違反」による死亡事故が後を絶たず、今後の課題は山のように残されていると言えるでしょう。 (参考)WHO |道路交通の犠牲者のための世界の追悼の日 https://ift.tt/3DEcMf6
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