健康的な食事や運動、十分な睡眠が健康のために欠かせないことは、ご存じのとおり。しかし、同様に考えたことはないかもしれないが、良好な血行を維持することも、健康のために非常に重要なことなのだ。
「体の循環器系は、私たちのすべての筋肉と臓器に欠かせない酸素と栄養素を供給します」と話すのは、ニュージャージー州にあるデボラ・ハート・アンド・ラング・センターのヴィンセント・ヴァーギース医師。
「血管プラークや動脈閉塞が起こると、正常な血流が妨げられ、心臓発作や脳卒中、さらに重症の場合だと下肢切断などの深刻な問題にもつながりかねません」
血管プラーク形成のプロセスは時間がかかるものであり、一般的には数十年かかるとヴァーギース医師は続ける。しかし研究によれば、プラークの前駆体は早ければ20代のうちに発達することが示されているという。
座りがちな生活、不健康な食事、高血圧、糖尿病、喫煙、心臓・血管疾患の家族歴はすべて、血行不良の一因となる可能性があるのだとか。
また、メリーランド州ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス病院の准教授で血管外科認定専門医のケイトリン・W・ヒックス医師は、「脚への血行障害の最も一般的な症状は、跛行(はこう)です」と説明する。
「これは、何らかの障害により正常な歩行ができない状態のことで、歩くと臀部やふくらはぎに痛みを感じることがあり、止まると治るという症状です」
特に家族歴がある場合は、手足の冷え、脚のむくみ、治るまでに時間のかかる脚の傷などはすべて血管の専門家に相談すべきサインなので、注意したい。
覚えておきたい、血行を改善する方法
1. 定期的に歩く
歩くことは動脈と静脈の両方にメリットがある。「ふくらはぎの筋肉が収縮すると、静脈血が心臓に押し戻されます」と話すのは、カリフォルニア州サクラメントの認定血管外科医であるミスティ・ハンフリー氏。
「歩くことで動脈が拡張し、全身の血流が改善されます」。そのために、1日最低30分、週3回のウォーキングを習慣にしてみよう。
ウォーキングができない時は、他の発汗方法でも血行促進につながるのでご安心を。「運動するとき、筋肉はより多くの血流を必要とし、酸素やその他栄養素を供給します」と、アリゾナ大学フェニックス校の医学部で臨床助教授を務める認定インターベンショナル心臓内科医のナチケット・パテル氏は述べている。
心拍数を上げる有酸素運動(サイクリング、エリプティカル、HIITなど)を1日20分・週に4〜5回行うことを目指してみて。(注:なお、前回のワークアウトから時間が空いている場合は、新しいルーティンを取り入れる前に医師の診察を受けた方がベター)
2. こまめに休憩をとる
より多くの休憩を取ることには、2つのメリットがある。まず、座ったり立ったり歩いたりする習慣を身につけやすくなるため、循環器系の負担が減る(座っている間は血流が遅くなり、足に血液が溜まり、筋肉痛や倦怠感を引き起こす可能性がある)こと、そしてもうひとつは、ストレスレベルを抑えられること。
「ストレスレベルを低く抑えることで、過食や喫煙に走る可能性も低くなります」とハンフリー医師は述べている。「過食や喫煙は、ともに動脈のアテローム性動脈硬化症(プラークの形成)を引き起こし、血管が狭くなってしまう可能性もあります」
15〜20分ごとにストレッチ休憩をとり、座りながら仕事をしている場合は1時間ごとに立ち上がって休憩をとるのがおすすめ。家の中を早足で歩き回るだけでもOK。
3. もっと野菜と果物を食べる
野菜や果物をたくさん食べることで、糖分や脂肪分の多い食品の摂取を減らし、高血圧、プラーク形成、糖尿病をより回避できる。さらに、「食品に含まれる硝酸塩やその他の化合物を増やすことができる」とパテル医師はコメント。これにより体内で生成される一酸化窒素は、血管を弛緩させることで血流を促進してくれるそう。
硝酸塩を多く含む食品は、葉物野菜(ほうれん草、ケール、スイスチャード、チンゲン菜、ルッコラ)、ビーツ、カリフラワー、ニンジン、ブロッコリー、柑橘系の果物、スイカ、ザクロなど。バランスよく取り入れてみて。
4. こまめに水分を補給する
「血液の約半分は水分なので、水分を十分に保つことは血流の促進に役立ちます」とパテル医師。脱水症状になると体を循環する血液の量が減少するだけでなく、血液がより多くのナトリウムを保持するようになり、循環系の働きにも影響が。
水分がきちんと足りているかを確認する最も簡単な方法は、尿の色を見ること。淡い黄色または透明な状態であれば、十分に水分を摂っていることを意味する。それよりも濃い色味の時は、意識的に水分を摂取するようにしよう(ただし、サプリメントや薬によっては尿の色が黄色くなる場合もあり)。
5. 禁煙する
喫煙は動脈にプラークを形成し、最終的には末梢動脈疾患(PAD)を引き起こす可能性も。「PADの症状は、歩行による脚の痛み(跛行)、安静時の疼痛、壊疽(血流不足による組織死)などさまざまです」とヒックス医師。
が、禁煙によりプラークの形成と血管損傷のプロセスを遅くすることができる。禁煙へのアプローチは人それぞれ異なるが、難しい場合は医師に相談して薬を処方してもらうことも可能。
6. 血圧を管理する
高血圧は心臓や血管の働きを悪くし、効率を下げることで血行を乱す。これにより動脈壁に小さな裂け目ができ、その場所に悪玉コレステロールによるプラークができやすくなってしまう。「心臓や末梢動脈を含む、あらゆる動脈で起こる可能性があります」とパテル医師。
運動をする、ナトリウム(塩分)の摂取量を控える、ストレスを減らすなどにより、血圧が下がり、血行促進につながる。血圧は、最高血圧が120mmHg未満で、最低血圧が80mmHg未満を目安にして。
7. 血糖値を管理する
血糖値の上昇は微小血管の内壁にダメージを与える可能性があり、これによって血流が乱されてしまうことも。また糖尿病を患うと体内でプラークが形成されやすくなるため、それにより血管(特に脚の血管)が狭くなり、PADのリスクが高くなってしまう。
「糖尿病の場合は、ヘモグロビンA1cを6.5%未満にすることを目指しましょう」とヴァーギース医師は述べている。そのためには、食事が重要。葉物野菜、全粒穀物、赤身のタンパク質、豆類など、血糖値を下げることに役立つ食品を豊富に摂取することで、大きな違いが生まれてくる。
8. 着圧ソックスを着用する
「着圧ソックスを着用すると、静脈にサポートの層を作ることができます。これは、筋肉に包まれていない表在静脈(体表の近くを流れる静脈)が拡張するのを防いでくれるためです」とハンフリー医師は解説。
長時間立ちっぱなし、もしくは座りっぱなしでいることで静脈が拡張すると、そこから痛みや腫れを引き起こす静脈瘤になる可能性があるという。
それを防ぐべく、朝から夕方まで着圧ソックスを着用してみよう。脚を圧迫することで、静脈の血流がよりスムースになる。着圧ソックスはさまざまなタイプがあるので、自分に合うものを見つけてみて。
9. 脚を上げる
血液が下に溜まらないように脚を上げる(心臓の高さより上)ことで、上半身への血流を改善することができる。「脚を上げると、血液を心臓に戻すために重力に逆らう必要がないため、静脈の負担を減らすことができます」とパテル医師は説明。
TVを見ているときや昼寝をしているときなどを利用して、15分以上の脚上げ(横になって脚を心臓より上の高さでキープする)を実践してみよう。
10. 緑茶を飲む
緑茶には血管機能の改善に役立つカテキンが含まれている。パテル医師によれば、「カテキンは、酸化(体内のフリーラジカルと抗酸化物質がアンバランスな状態)を抑制し、血管の炎症や動脈プラーク形成を抑えることが示されています」とのこと。
緑茶は血管を弛緩させて血行を促進することができると考えられているが、そのパワーを完全に把握するためには、さらなる研究が必要とされている。
11. 飲酒はほどほどに
「1日1〜2杯以上の飲酒は、高血圧と関連しています」とパテル医師。アルコールを摂取すると、血液を体内へ送り出すためにより負荷がかかる状態になり、静脈にストレスをかけるからだという。
お酒を飲むときは、推奨されている1日あたりの飲酒量の範囲内にとどめておくことが望ましい。
12. 家族でも話し合う
「男性で55歳、女性で65歳になる前に心血管疾患の既往歴がある家族がいる場合、その年齢に達する約10年前に専門医に診てもらう必要があります」とヴァーギース医師。「危険因子がなくても、遺伝学や家族歴は血管プラークの形成に大きく関わりますから」
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
Translation: Ai Ono From Prevention
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