テロリストや犯罪集団への資金供与を可能とするマネーロンダリング(資金洗浄)は、あってはならないはずだ。 対策に取り組む国際組織「金融活動作業部会(FATF)」が、日本を対象とする調査報告書を13年ぶりにまとめ、公表した。 評価は、これまでと同じ3段階中の2番目に当たる「重点フォローアップ国」にとどまった。取り組みが進んでいる「通常フォローアップ国」ではなく、対策が不十分とされた。 最も評価の低い「観察対象国」になると、邦銀に対する外国当局の取引審査が厳格化され、国際金融市場で活動に支障が生じたり、日本企業の対外決済が遅れたりする影響が出るという。 政府は、評価をしっかり受け止め、改善を急いでもらいたい。 FATFは1989年に設立され、日米欧などの37カ国・地域などが加盟する。国際基準を定め、各国・地域に審査団を派遣して現地調査を行っている。 今回の調査で日本は、非営利組織がテロの関係者らに悪用されるのを防ぐ法整備が、4段階中の最低ランクとされた。処罰する法の適用範囲拡大や、法定刑の引き上げが求められている。 金融機関は、預金口座の名義などが適切かどうか、開設時だけでなく、継続して管理する必要がある。しかし、報告書では「大手行以外は、十分な理解を有していない」と指摘された。 今回から調査対象となった暗号資産(仮想通貨)の関連業者は、資金洗浄への対応方針すらないところが多くみられた。 資金洗浄を企てる側にとっては「抜け道」だらけといえよう。 日本では、テロの脅威が身近にある欧米と比べ、預金者に危機感が乏しく、協力を得にくいという事情もある。 とはいえ、数年前には、北朝鮮とつながりの深い企業に不正送金の疑いが強まり、金融庁が全銀行に取引記録を報告させる事態が起きた。 口座が簡単に開設できて、利用実態のないものがあるならば、犯罪の温床ともなりかねない。 政府は、金融庁や警察庁など関係省庁の連携を強化し、対策のガイドラインを更新するとともに、金融機関や預金者らに周知徹底すべきだろう。 収益基盤の限られた地方銀行にとって、対策にかかる費用負担は重い。業界団体の支援に加え、政府のてこ入れも要りそうだ。
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