2021年09月12日06時50分
【ワシントン時事】ブッシュ(子)米政権で国家安全保障会議(NSC)のアフガニスタン・パキスタン担当部長を務めたジョージタウン大のポール・ミラー教授は、アフガン「敗戦」によって米国が世界中に築き上げてきた同盟システムが不安定化し、中国やロシアが影響力を拡大すると厳しい見方を示した。米同時テロから20年に当たり、時事通信の書面インタビューに答えた。
ミラー氏はアフガンからの駐留米軍撤収について、バイデン米政権が「テロリストに国家を与え、本来なら避けられたはずの損害を米国の安全が被るような選択をした」と批判。バイデン大統領は軍の規模を維持・増強し、イスラム主義組織タリバンと新たな和平交渉に臨むべきだったと振り返った。
また、アフガン敗戦は「自由主義的価値観に基づく世界秩序の敗北だ」と強調。中ロを含め、専制主義を信奉する国々が指導力を増すと懸念を示した。中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」の下、過剰な融資を返済できなくなる「債務のわな」に陥り、対中国で政治的主導権を失う国々が増えるとも予測した。
こうして国際環境が厳しさを増す中で、第2次大戦以降、米国の同盟システムによって保たれてきた世界の安定はより脆弱(ぜいじゃく)になると悲観的な認識を示した。ただ、自由主義的な国際秩序の維持は「米国やあらゆる民主国家の繁栄のエンジン」であり、今後も米国の主要な安全保障政策であり続けると語った。
一方、台湾などで有事の際の米国の軍事的関与を不安視する向きがあることについて、ミラー氏は地域ごとに政治状況は異なると指摘。「アフガンを見捨てたことで、直ちに欧州や東アジアの同盟国が米国への信用を失うとは考えない」と述べた。
◇ポール・ミラー氏略歴
ポール・ミラー氏 ジョージタウン大で博士号取得。2001~02年、情報将校としてアフガニスタンに勤務。中央情報局(CIA)分析官、国家安全保障会議(NSC)アフガン・パキスタン担当部長、ランド研究所員などを経て、18年から同大教授。国際政治や安全保障が専門。
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