フロイドさん事件から1年 アジア系少数民族・モン族系の葛藤【現場から、】
去年5月、白人警官に首を膝で押さえつけられ死亡したジョージ・フロイドさん。起訴された4人の元警察官のうち、ひとりはアジア系でした。「モン族」という少数民族にルーツを持つトゥ・タオ被告です。
「タオこのままでいいのか?殺人が起きるぞ」(通行人)
当時、警官の過剰な暴力を指摘する人の前に立ちふさがったタオ被告。この行動はアメリカの“超少数派”モン族のコミュニティに衝撃を与えていました。アメリカ西部カリフォルニア州。全米で最も多くモン族系の人たちが暮らします。
「州内で最大のコミュニティがあるフレズノには、こうした装飾品ですとか、このようなカラフルな衣装など、伝統的なモン族の商品を取り扱う店が数多くあります」(記者)
東南アジアのラオス山間部に住んでいたモン族。ベトナム戦争でアメリカの工作部隊として戦い、その後、国内で迫害され、多くが難民としてアメリカに渡りました。フレズノという街には3万人ほどのモン族系の人たちが生活しています。
「タオという名字はモン族特有なので、被告の名前を聞いた時はすぐにモン族だと分かりましたし絶望を感じました」(「モン族」コミュニティを支援 ゴーヌーキ・ベル・バングさん)
コミュニティの支援を行うNPOのメンバー、ゴーヌーキ・ベル・バングさん(24)。白人警官を止められなかったことは「許されない」、そう感じる一方で、被告個人だけの問題ではないという複雑な思いもあります。
「タオ被告の行動は受け入れられませんが、私たちのコミュニティは白人社会に逆らうことを“怖い”と感じてきました」(「モン族」コミュニティを支援 ゴーヌーキ・ベル・バングさん)
「モン族系はアメリカ社会でずっと弱い立場にあった」、そう指摘するバングさんも白人に従うよう教えられてきました。
アメリカに渡った後も英語が話せないことから生活は苦しく、コミュニティには発言力を高めようと公務員や政治家をめざす人が多いといいます。
「私たちは米国で懸命に生きなければなりませんでした。個々の成功がコミュニティの評価にプラスになると思ってきたのです」(モン族の歴史に詳しい ラー・ヤンさん)
そんな中、フロイドさんの死をきっかけに全米に広がったのがブラック・ライブズ・マター運動。バングさんは仲間とともにこの運動に参加し続けています。“黒人だけでなく、マイノリティの弱い立場も見直されるきっかけになるのでは”そんな思いがあります。
「いまも白人社会に逆らうのが怖いです。難しい問題で皆もがいていますが、自分たちで客観的に考え、評価できるようになることが変化のカギだと思います」(「モン族」コミュニティを支援 ゴーヌーキ・ベル・バングさん)
事件から1年、バングさんは葛藤を抱えながら活動の輪を広げようとしています。
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