中国との関係が悪化の一途をたどるオーストラリア。モリソン首相が昨年、新型コロナウイルスの感染源をめぐり独立調査を求めたことに猛反発した中国は、オーストラリア産品に高関税を課すなど次々と制裁措置を繰り出す。オーストラリアにとって中国は最大の貿易相手国。過剰に中国に依存し、輸出先の多角化に対応できていなかったロブスター業界からは悲鳴が上がる。
南東部タスマニア島を中心とするタスマニア州からは2018~19年、輸出品の31.5%が中国に向かった。金額ベースでは約12億豪ドル(約1017億円)に上る。中でもロブスターは漁獲量の90%以上が中国向けだった。
「半数近くの漁師が漁に出ていないなんて前代未聞だ」。タスマニア・ロックロブスター漁師協会のリーン・ヒディング最高経営責任者は驚きを隠さない。
中国がオーストラリア産品の輸入を制限する中、ロブスターも昨年11月、中国で通関手続きが滞っていると伝えられた。その後輸入が止まった。多くの漁師が漁に出られない状態が続く。中国側はロブスターに高濃度の重金属が含まれていたと主張するが、オーストラリア側は否定する。
漁師協会のカール・クラウス会長によると、タスマニアで捕れるロブスターは年間約1000トン。ヒディング氏は「ロブスターは生命力が強く、水なしでも4日間は生きられる。その間に中国に空輸するというサプライチェーン(供給網)が確立されていた。生きたままのロブスターは喜ばれた」と話す。
これまでも重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した時期などに中国以外の市場開拓を目指したことがあったが、ヒディング氏は「他国と取引しようとすると、中国はさらに高い買い取り額を提示してきた」と中国依存から脱却できなかった背景を説明する。
ヒディング氏は「きれいな海で育った素晴らしいロブスターを買いたいと思う人は世界にいるはず」と話す。今後は生きたまま輸出するのではなく冷凍加工し、世界各地の高級レストランに販路を開拓する考えだ。
タスマニア商工会議所幹部のサリー・チャンドラー氏は「一国への輸出依存は危険」と警鐘を鳴らす。特に日本とは季節が正反対であることを生かし、農産物や魚介類の輸出拡大に活路を見いだす必要があると強調した。(タスマニア州ホバート 共同)
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