過剰な心臓周囲の脂肪(心膜脂肪)は心不全の発症リスクを高めるとする研究結果が報告された。この傾向は、特に女性で強い可能性があるという。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学医学部准教授のSatish Kenchaiah氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」6月1日号に発表された。
この研究は、動脈硬化症の多民族研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)の胸部CT画像を用いて、心膜脂肪量(PFV)と心不全の発症リスクとの関連を調べたもの。対象としたCT画像は、研究開始時に心不全のなかった45〜84歳の男女6,785人(女性3,584人、男性3,201人)のものであった。
9万686人年(中央値15.7年)の追跡期間の間に、385人(5.7%、女性164人、男性221人)が心不全の新規診断を受けていた。多変量解析の結果、心不全の発症リスクは、PFVが42cm3増えるごとに、女性で44%、男性で13%上昇することが明らかになった。また、PFVが高値の人(女性で70cm3以上、男性で120cm3以上)の心不全発症リスクは、女性ではおよそ206%、男性では53%上昇することも判明した。このようなPFVの高値と心不全発症リスクの上昇との関連は、性別による層別分析で、身体測定指標(肥満、皮下脂肪、内臓脂肪)や炎症バイオマーカー、血行力学的負荷で調整した後でも変わらなかった。さらに、白人や黒人、ヒスパニック系、中国人の間でのリスク差も認められなかった。
こうした結果についてKenchaiah氏は、「20年近くの間、BMIで判定した"肥満"に該当する人では、心不全のリスクが2倍になる可能性が指摘されてきた。ところが今や、イメージング技術の力を借りて研究はさらに1歩前進し、過剰な心膜脂肪が、おそらくは心筋の近くにあるために、心不全の発症リスクをさらに高める可能性のあることが明らかになった」と強調している。
その上でKenchaiah氏は、「この研究結果は、患者を心不全の高リスク群と低リスク群に分類する上で有用なツールとなり得るものだ。それにより、心不全に対するより優れた予防法や治療法が導き出される可能性がある」と述べている。
ただしKenchaiah氏は、さらなる研究により、この結果を検証する必要があるとしている。また同氏は、「今後は、最適な体重を達成してそれを維持し、心臓周囲への脂肪の蓄積を低減・回避するための方法や手段、例えば、心臓の健康に良い食生活や、身体活動性の維持などにも焦点を当てる必要がある」と説明している。(HealthDay News 2021年5月25日)
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