アメリカ人の約62%が毎日飲んでいるコーヒー。味だけでなく、コーヒーを飲んだ後の気分が好きな人は多いはず。
集中力を高めたり、気分を上げたりするのに、とにかくコーヒーはベストだ。
だが、カフェインを取り過ぎると、不安が募ったりストレスを感じたりすることもある。
カフェイン(世界中でもっとも広く使われている精神活性薬)が主に含まれているのは、コーヒーや紅茶、炭酸飲料、チョコレート。これらに加えて、薬剤やサプリ、体重をコントロールする製品にも使われている。
もちろん、エナジードリンクには過剰な量が含まれている。
アメリカ食品医薬品局によると、健康な成人の場合は、ほどほどのカフェイン摂取量(1日当たり400mg以下)なら安全だという。
ちなみに、コーヒーには、通常1杯当たり80〜100mgのカフェインが、エナジードリンクには8オンス(約237ml)当たり40〜250mgのカフェインが含まれている。
ジョージタウン大学医学センターの神経学・生化学学部教授のジェームズ・ジョルダーノ博士は、「エナジードリンクには、飲料にすでに含まれているカフェインの促進、あるいは増強効果を持つ植物由来の化学物質も含まれています」と説明。
加えて、カフェインと他の刺激物を混ぜることに対しても警告を発している。
カフェインの摂り過ぎでストレスが増す理由
血流に吸収されたカフェインは脳に回り、眠気を誘うアデノシンという化学物質をブロックする。これが、脳内で中枢神経系を刺激する活動を高め、体のストレス反応を活性化する。
その結果、体は攻撃・逃避反応に備えてアドレナリンやコルチゾール(ストレスホルモン)を放出するなど、化学反応を次々に起こす。
すると、より注意深くなるだけでなく心拍数が上がり、血流が増し、筋肉は緊張する。どれも少しであれば役に立つものだ。
しかし、NYの神経心理学者のジェン・ウォルキン博士は、ある段階でカフェインが刺激過剰になり、イライラするなど逆効果になると言う。
「筋肉が突然の運動に備えて準備させられたのに、どこへも行くところがない状態を想像してみてください。これがイライラ感ということになります」と彼女。
血流や心臓の収縮が増すと、動悸を引き起こし、パニック発作のように感じることもあるという。
また、栄養科学者でビンガムトン大学健康ウェルネス学科の准教授リナ・ベグダシュ博士は、その状態について火に油を注ぐようなものだと指摘。
「カフェインは少量であれば気分を高めます」と彼女は説明するが、一定のレベルを超えると、ストレス反応を強めてしまうとも注意している。
カフェインは不安感を悪化させる?
ウォルキン博士によると、研究ではカフェインが不安障害を悪化させ、その状態が続くことが示唆されているという。
カフェインには、不安感を増幅させる働きがあるのは明らかで、彼女は新しい患者が来ると全員にカフェイン摂取量をたずねるという。
もし、コーヒーが患者の不安感を強め、長引かせたりしていることに気づいた場合、彼女はセラピー治療とともに摂取をやめるよう勧めている。
また、マサチューセッツ州の心理学者で臨床科学者のジェニッカ・イングラー博士によると、不安症を抱えている人にとって、カフェインは基本的に悪循環になるという。
例えば、不安症の人は、眠れないため疲労感があるかもしれないが、自分を元気づけるために1日中コーヒーを飲んでしまう。
しかし、カフェインを大量に摂り過ぎると余計、不安を感じ、夜、眠れなくなってしまうというサイクルを繰り返してしまうのだ。
コーヒーは1日に何杯まで飲んでいい?
それは、人による。カフェインは、体重、性別、許容度など、さまざまな理由からすべての人に異なる影響を与える。
しかし、トレド医療センター大学の内科専門医であるラシュミ・ゴヤル医師によると、平均的な人の場合は、コーヒーを1日2杯(200mgのカフェイン)程度であれば、それほど大した症状を起こさないという。
「400mg以上のカフェイン(コーヒー4杯程度)を摂取すると、不安症状を引き出すかもしれません」とゴヤル医師。
1200mg以上摂取すると、人によってはてんかんなどの発作を起こす可能性もあるという。
とは言え、全てはその人の感度や代謝率次第。カフェインの代謝が遅い人はシステムの中にカフェインがより蓄積され、たとえコーヒーを飲む量が少なくても、影響を与える。
一方で、代謝が速い人は吸収、分解、カフェイン除去も速いため、コーヒーをたくさん飲まないと不安感は生じない。
また、ベグダシュ博士は、カフェインを代謝する肝臓の酵素に遺伝的欠陥がある人もいて、代謝を遅くする場合もあると説明する。
そして、カフェインは、性ホルモンが多く、カフェインと代謝を競い合っている若者や、一般的にエストロゲン値が高く、気分障害を起こしやすい女性に、影響を及ぼすという。
ジョルダーノ博士は、人よりカフェインに対して敏感な人もいるが、それはおそらく、特定の投薬やカフェインの刺激を受けやすくする基礎疾患によるものだと説明する。
カフェイン摂取量の境界値を見つける方法
誰にでも当てはまるカフェイン量というものはない。そのため、自分の境界値を見つけることが重要だ。
主な方法は、1日の中で、コーヒーやカフェイン入り飲料を飲むと、どんな気分になるのか注意を払うこと。
もし、午後の早い時間に不安になったり、少し涙脆くなった場合は、飲み過ぎのサイン。落ち着きがなくなったり、イライラしやすくなっている人は、カフェインの摂取を控えること。
あるいは、午後遅い時間にコーヒーショップに行った夜、なかなか寝付けないことに気づく人もいるかもしれない。
「自分の体内の感覚に気づくという、内受容に対するある程度の自覚が必要です」とウォルキン博士。
緊張感やイライラ、すべてが加速したように感じ始めたら、自分の限界に達したというヒントになる。
そうした感覚が現れたら、どのくらいカフェインを摂取したかをメモし、その量に達する前を上限としよう。
とは言え、カフェイン依存の人が急にカフェインを全て断ってしまうと、離脱症状に襲われると専門家は警告している。
なぜなら、頭痛や疲労感、集中力の問題、イライラ、筋肉痛を引き起こす可能性があるからだ。
ジョルダーノ博士は、1日にカフェインを摂取する量を徐々に減らしていき、体のシステムがより調節されたやり方で平常に戻すことを勧めている。
加えて、クリーブランド・クリニックは、「コーヒー愛飲家の場合は、まずはレギュラーコーヒーとカフェインレスコーヒーを交替に飲むことから始めること」とアドバイス(コーヒーはその香りと味から、プラセボとして機能する強い条件付け効果があると、ジョルダーノ博士は言う)。
最低2〜3週間はこれを試して、1日のカフェイン量を徐々に減らしていき、どんな作用があるのか見てみよう。
そうすれば、ゆっくりとカフェインを断ち、自分にとって健康的だと感じられる量に戻すことができるはずだ。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
Translation: Mitsuko Kanno From Prevention
This content is created and maintained by a third party, and imported onto this page to help users provide their email addresses. You may be able to find more information about this and similar content at piano.io
からの記事と詳細 ( カフェインを摂り過ぎると不安やストレスを引き起こす? - ハーパーズ バザー・オンライン )
https://ift.tt/3cCxX5N
0 Comments:
Post a Comment