「ごちそう」の馳走とは、もともと野山を走ることだったのはよくご存じだろう。おいしい食材を手に入れるため走り回ってくれた。その感謝の言葉がごちそうさまであり、ごちそうそのものが豪華な料理を指すようになった▼語源を疑う気はないが、別の見方もできるとつまらぬことを考える。ごちそうを口にした者はもてなしてくれた人に報いるため、やはり走り回らなければならなくなる。ごちそうとはひょっとして人を馳走させる策略なのではないか▼あほうな解釈に至ったのは総務省の違法接待問題のおかげである。この問題を調査した第三者委員会は総務省が放送関連会社「東北新社」の外資規制違反を知っていながら事実上、目をつぶった可能性が高いと判断した▼担当していた当時の課長は東北新社側から過剰な接待を受けていた。豪華な食事と野球の切符。報告書は接待と違反見逃しの関係については言及を避けているが、「ごちそう」に対する見返りの「馳走」として違反を黙認したと疑われてもしかたあるまい。そして行政はゆがめられた▼同省では合わせて、三十二人、七十八件の国家公務員の倫理規程に違反した会食が確認されている。利害関係者からのごちそうに平気でハシを付ける癖がどうやら省内にある▼信頼回復に向け、立て直したい。総務省の「そう」はごちそうのそうと笑われたくはあるまい。
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